【まるも亜希子の「寄り道日和」】ホンダ「フリード」に決定した日本カー・オブ・ザ・イヤー 2024–2025
ホンダ「フリード」が、ミニバンとして史上初の栄誉を勝ち取った2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー。ホンダとしては、私の愛車だった「CR-Z」以来14年ぶりの大賞受賞だったということで、みなさん喜び爆発というよりは「うそっ、ほんと? 信じられないっ」という驚きの表情だったのが印象的でした。 【この記事に関する別の画像を見る】 インポート・カー・オブ・ザ・イヤーには、これまた日本導入22年目にして初受賞となった、BMW MINIのクーパー。こんなに日本で売れていて愛されているクルマなのに、これまで無冠の帝王という感じだったんですね。そしてデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーには、ビーストモードという攻めたデザインが評価された、三菱「トライトン」。テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーには、水素で走る燃料電池車をプラグインにして、充電でも走行できるようにした二刀流が新しい、ホンダ「CR-V e:FCEV」が受賞しました。これを機に、多くの人にこうした技術を知ってもらえたらいいなと思います。 さて、カー・オブ・ザ・イヤーは毎年、すべてのノミネート車の中から選考委員の投票によって、まず10ベストカーが決定し、その10台を同じ土俵で乗り比べたり開発者に取材したりすることができる、10ベストカー試乗会が開催されます。今年は袖ヶ浦フォレストレースウェイで行なわれ、私はここ数年の恒例となっている「後席・オブ・ザ・イヤー」を勝手に開催。夫である橋本洋平と、一緒にOKISHUプロジェクトをやっている吉田由美さんに代わるがわる運転してもらって、すべてのクルマの後席に試乗しました。 これ、けっこう毎年ちがいが出るものなんですよね~。普段から、試乗する際にはすべての後席に座ってチェックしているんですが、同じ日に同じコースで同じ運転手で試乗できる機会というのは滅多にないじゃないですか。お天気や路面の状態、運転の仕方で後席の乗り心地というのは変わってきますから、ガチで比べることができる絶好のチャンスなのです。 とはいえ、袖ヶ浦フォレストレースウェイはサーキットなので、一般道とちがってきつめのブレーキングだったり、Gがかかるコーナリングもあります。路面に継ぎ目やマンホールなどがないので、一般道とまったく同じ印象ではないかもしれませんが、いつもチェックする項目のメインは3つ。「お尻のおさまり具合」「身体の揺れかた」「ノイズの入りかた」です。あとは、カーブのときにつかまったり寄りかかれるところがあるかどうか、視界に圧迫感がないかどうか、足が踏ん張れるかどうか、ヘッドレストに違和感がないかどうか、窓や壁や天井に頭をぶつけたりしないかどうか、エアコンなどの空調が快適かどうか、前席の人と会話が普通にできるかどうか、といった細かなところもチェックしています。 それらを総合的にチェックして、正直なところ、今年の10ベストカーの中で「これはダメ」というクルマはなかったんです。さすが選ばれしクルマたち。フリードとCX-80は3列目シートにも試乗して、しいて挙げればCX-80の3列目はエアコンの風が膝ばかりに直撃してしまうのが残念かなと思ったのと、LBXにセンターアームレストが欲しかったなぁと思ったくらいです。なので激戦ではありますが、中でも「これはおすすめできる!」と感じた後席のベスト3をご紹介しますね。 まず3位は上質な素材とゆったりした座り心地の「CX-80」。2位は、静かさ、視界の良さ、落ち着きのある乗り心地が抜群だったBYD「シール」。そして1位は、過激なスポーツモデルなのに後席の快適性までしっかり作られていると感じたヒョンデ「IONIC5 N」でした。まさかまさかの結果に、やっぱり後席こそ「乗ってみないとわからない」ことをあらためて実感し、今後の取材活動でも引き続き後席のチェックをシッカリやっていこうと思った次第です。
Car Watch,まるも亜希子