中西圭三さんが「顔面神経麻痺」発症 5つの原因・なりやすい人の特徴【医師解説】
顔面神経麻痺の治療
顔面神経麻痺は、発症から3日以内の受診が、完治するか後遺症が残るかのわかれ道になる重要分岐点と考えられています。治療は、まず原因を調べることが重要です。原因が判明すれば、原因に対する治療を行うとともに、麻痺に対する治療を早期に行います。 [薬物療法] ベル麻痺とラムゼイハント症候群の主な治療は、神経の炎症やむくみを抑えるステロイドホルモン剤と、単純ヘルペスウイルス・水痘帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬による薬物療法を行います。発症後3日以上経ってからでは治療効果が下がるので、発症したら早期の耳鼻咽喉科受診が必要です。患者さんの状況に応じて入院での点滴・外来通院での点滴・内服加療を行います。 [リハビリ療法] 後遺症を軽減するために早期よりリハビリ指導やストレッチを行います。顔面神経麻痺のリハビリは筋力を強化する目的ではなく、顔面の不自然な動き(病的共同運動)やひきつれ(顔面拘縮)などの後遺症を予防する目的で行います。焦らずじっくり行うことが重要で、やり過ぎや低周波刺激などの電気刺激は顔面のひきつれを助長するため禁忌です。 [手術療法] 薬物療法で症状の改善がみられない場合は、顔面神経減荷術を行います。顔面神経減荷術は、側頭骨のなかにある、炎症などでむくんだ顔面神経を包んでいる骨を削って除圧する手術です。発症後1ヵ月以内の施行が望ましいといわれています。麻痺の後遺症が残ることもあり、必要時は形成外科と連携して整容改善手術を行います。 [ボツリヌストキシン注射] 顔の表情の左右差・顔面拘縮・病的共同運動などの、顔面神経麻痺の後遺症に対しては、ボツリヌストキシン注射での治療が有効です。細かな表情の微調整が可能なため、中~軽症の不全麻痺・拘縮・病的共同運動が改善する効果が期待できます。ボツリヌストキシン注射の効果は3~5ヵ月すると消えるため、年に2~3回繰り返して行う必要があります。