【歯と口の健康週間】こんなマウスピース歯科矯正には要注意!学会からの注意喚起も
歯科医師なら誰でも矯正治療ができるわけではない!
増田:日本では子どもの歯科矯正治療のほうが多いものの、大人になって自分のお金で歯科矯正治療をしたい人も増えています。特に女性は、透明で自分で着脱が自由にできるマウスピース矯正を選択したいと思う人は少なくないと思うのですが、デメリットが多い注意すべき治療だということがよくわかりました。 星先生:マウスピース矯正による治療は、適応症の判断や高度な専門的知識を要します。大学病院や基本研修機関と認められている医院で、十分な矯正歯科領域全般にわたる臨床的なトレーニングを受けた歯科医師でも、マウスピース型矯正装置だけですべての症例を完璧に治すことは難しいのです。 日本では経験が浅く専門的な研修を受けていなくても、歯科医師であれば誰でも歯科矯正の看板をあげ、矯正治療を行えてしまうことが問題です。 マウスピース矯正は、「人から装置が見えにくい」「装置の着脱が簡単で食事や歯磨きがしやすい」「金属アレルギーがあっても使用できる」「診療室での治療時間が比較的短い」などのメリットもありますが、歯科矯正の専門的知識と技術のある歯科医師に相談して、診察、検査、診断をきちんとしてもらって、自分に合った治療を選択することが大切です。 【マウスピース型矯正装置による治療のデメリット】 ・歯の移動量の少ない軽度のケース(軽度の歯のデコボコ、軽度の歯の隙間、矯正治療後の軽度の後戻りなど)に限られる。 ・毎日長時間の装着が必要で、使用状況によって効果が大きく異なる。 ・子どもや骨格性要因を含む症例には適さない。 ・精密な噛み合わせの確立は原則として困難で、満足できる治療結果が得られない可能性がある。
専門性をもった矯正歯科の医師の探し方は?
増田:歯科医師なら誰もが歯科矯正治療を行ってしまっている現状で、専門性をもった矯正歯科の医師をどのように探せばいいのでしょうか? 星先生:歯科医療も、ほかの医療と同様に専門性を求められる医療です。医科に、産婦人科、内科、眼科、耳鼻咽喉科などがあるように、歯科にも小児歯科、歯科口腔外科、矯正歯科などの専門があります。 大学の歯学部6年間を卒業して歯科医師となり、歯科矯正学教室に5年以上在籍していないと、矯正歯科の認定医は取れません。そもそも一人の人の歯科矯正の治療過程(治療後、矯正装置をはずしたあとの保定期間も加えて)をすべて経験するには平均5年はかかるのです。 下記の協会や学会のホームページに矯正歯科の認定リストがありますので参考にしてみてください。 【専門性をもった歯科矯正医を探すには…】 ●一般社団法人日本矯正歯科協会(JIO)の認定歯科矯正医(旧JBO認定歯科矯正専門医)リスト https://www.jio.or.jp/html/official/senmon_meibo.htm ●日本矯正歯科学会の認定医・指導医・臨床指導医リスト https://www.jos.gr.jp/roster