「年収400万円、奨学金の返済もあるし生活するだけで精一杯で、老後資金なんてとても貯められません。」それでも、将来のために貯金は必要ですか?
年収400万円のAさんは現在奨学金を返済中です。物価も上がっているし、生活するだけで精一杯。「若いうちから老後資金を貯めておこう」という話を見聞きしますが、貯金できるほど生活に余裕がないのに、それでも将来のために貯金をしなければないないのかと疑問に感じているそうです。 老後資金はいくら必要なのか、無理のない額でも貯金できる仕組みはないのか、FPがアドバイスします。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
現状の収支バランスを確認する
「生活するだけで精一杯なのに、老後資金を今から準備する必要はあるのか?」というご質問です。今回はまず“現状を把握”し、その上で“将来設計を考える”という順番で整理したいと思います。 <現状を把握> 奨学金を返還している人は多いのですが、実は思うように返還できないケースもあります。そのような中、Aさんは順調に返還できているのですから優秀です。 参考までに奨学金の返還に関する資料は図表1のとおりです。奨学金を借り入れた時は、卒業したら順風満帆と思っていたかもしれませんが、“人生山あり谷あり”なので完済までは油断は禁物です。 (図表1)
毎月決まった収入でやり繰りを考える時、優先すべきは借り入れの返済です。返済できないからといって他から新たな借金をしてしまうと、雪だるま式に借金が増えてしまうことは誰もが知るところです。 返済が難しくなったら、借入先に相談することが良策です。返済方法の変更等、返済計画についてのアドバイスも受けられる場合があります。 一方、奨学金は全額または一部を繰上げ返還できます。第二種奨学金の場合は繰上げ期間の利子はかかりませんので、返還総額は当初の予定金額よりも少なくなります。余裕ができたら、繰上げ返還を利用するのも一案です。借入残高を減らすこことで完済の時期も早まりますので、精神的にも楽になると思います。 「奨学金の借入残高を確認する → 家計の収支バランスを見直す → 将来設計を考える」 この順番に作業を進めるとスムーズです。