どっちがいいの!?生前贈与それとも相続?財産の種類やボリュームによって異なるメリット・デメリットとは
『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)の「ズバリマネー相談室」コーナーでは、リスナーから届いたさまざまなお金に関する疑問や悩みに対して、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナーが回答しています。11月11日の放送では、こどもに自分の財産を渡す場合、生前贈与が良いのか相続が良いのかという疑問に、伊藤勝啓さんが回答しました。聞き手は北野誠と大橋麻美子です。 【画像】どっちがいいの!?生前贈与それとも相続?財産の種類やボリュームによって異なるメリット・デメリットとは
生前贈与と相続の違い
どちらが得かという話の前に、まずは生前贈与と相続の定義について伊藤さんが解説します。 生前贈与は生きている間に財産の一部をこどもに渡すことで、渡す人と受け取る人が合意することで成立します。財産を渡す相手は誰でも何人でもかまいません。 一方、相続は親などが亡くなった後に財産を相続人が受け取ること。基本的に配偶者やお子さんなどの法定相続人が受け取りますが、遺言があると指定された人も財産を受け取ることができます。
かかる税金はいくら?
生前贈与のメリットは事前に財産を渡すことで、相続時の税金対象となる財産を少なくする、つまり税金を減らすことができます。 ただ、相続では(3,000万円+600万円×法定相続人の人数)の分だけ税金が控除されるため、財産の金額によっては贈与税よりも安くなることがあります。 税率はどちらも最低が10%で最高が55%ですが、対象の金額は異なります。 贈与の場合は年間110万円を超えると税金がかかり、最低税率の10%は最終的な課税対象額が200万円以下の場合で、それ以上は段階的に税率が上がり、4,500万円を超えると最高税率の55%が適用されます。 相続では各種計算をした後、法定相続人ごとの課税対象額に対して1,000万円以下の部分が10%、それ以上は段階的に税率が上がり、6億円を超える部分に55%がかかります。
財産はどんな形で持っている?
ここまでで財産の大きさによって税金が変わるということはわかりましたが、さらに生前贈与と相続、どちらにしたほうが良いかという判断基準はあるのでしょうか? 伊藤さんは「必ずどちらというのはないんですけど」と断りを入れつつ、大まかな判断材料としては、「現金が多い場合は生前贈与、土地や宅地などの不動産が多い場合は相続が向いているという傾向がある」と語りました。 親に年金などの定期的な収入がある場合、財産を現金で置いておくというのはあまり意味がありません。その現金を生前に孫の教育費などに使うのは、生きたお金の使い方となるとのこと。 一方、不動産を相続する場合は、不動産登録免許税という税金がかかりますが、売買や贈与と比べて5分の1に軽減される優遇制度があります。 生前に不動産を贈与する場合は、所有権移転登記など多くの手間や費用がかかってしまうことがデメリットとなります。 また、土地を売って現金化した場合、売却益に対して譲渡税がかかったり、売却のための仲介手数料がかかったりします。 そして、相続の際に現金のボリュームがあると、生前贈与の節税効果はあっても有利に相続できない可能性が出てくるとのことです。 (岡本)