アメリカ人にとって「パリジェンヌ」は絶対的な幻想? 人気ドラマシリーズのデザイナーにインタビュー
特別なシーズン
「今シーズンは、これまでよりも達成感がありました。キャラクターが進化し、成熟したからです。女らしくなったエミリーは、初めてスウィンギング・ロンドン風のスリーピースのスーツを着て、フラットシューズを履きました。パリジェンヌだって常にハイヒールを履いているわけではないことを製作側も認めたんです。今シーズンもカラフルですが、以前よりも繊細になりました。型にはまったキャラクターという偏見が少し弱まるしょうか?」
アメリカ人にとってのパリジェンヌ
「アメリカ人にとって、パリジェンヌはいつまでも絶対的な幻想。えもいわれぬ魅力がどこからくるのか、どうしたらパリジェンヌっぽくなれるのか、みんな知りたがっています。典型的なパリジェンヌはエフォートレス・シック、ヘアスタイルは無造作なのにおしゃれだし、ロゴは嫌いで、コーディネート上手。「着飾っているわね」はパリジェンヌ流の悪口なんです。上質なもの、価値あるバッグに投資を惜しまず、目指すは垢抜けた美しさ。もちろん、理想の白Tシャツとジーンズは常に探しています。アメリカ女性は髪もメイクも服もなにもかもやりすぎ、整いすぎです。その一方で週末のL.A.のファーマーズ・マーケットでは、パジャマにUGGやクロックスを履いて買い物に来る人たちがいます。パリではそういう光景が絶対ないことを願っています。だらしない格好にはぞっとします。自由は凡庸の代名詞ではありません。努力することは、周りの人を尊重することなのです」
シルヴィについて
「カリーヌ・ロワトフェルドにインスパイアされたのではと言われていますが、違います。シルヴィのキャラクターを演じているフィリピーヌ・ルロワ=ボリューのお母様がモデルです。ディオールでジュエリーデザインを手掛け、イタリアンブランドのミューズとなり、1960年代から1970年代にかけての人気俳優と結婚したすばらしい女性です。フィリピーヌのご両親は華麗なるジェットセッターでした。彼女の歩き方、ファッションのセンス、身のこなし、エレガンスは母親譲りなのです」