ホウオウビスケッツはハンデ５９・５キロ

［ＧⅢ中山金杯＝２０２５年１月５日（日曜）中山競馬場、芝内２０００メートル］ 　中央競馬の２０２５年は例年通り、１月５日の東西金杯で幕を開ける。関東圏は中山金杯が初日メイン。ハンデ戦に２４頭がエントリーしており、激戦必至の様相を呈している。 　馬券的にも〝荒れる金杯〟の伝統は不変。前１０年は全て３連単万馬券決着となっており、特に近６年は２度の６桁配当を筆頭に全て４万円以上の配当がついている。伏兵の台頭にも注意を払いたい一戦だ。 　ただ、今回の顔触れを見るとホウオウビスケッツ（牡５・奥村武＝馬齢は２５年度の表記、以下同）の戦歴が断然といえる。昨夏の函館で巴賞と函館記念を連勝。秋も毎日王冠２着、天皇賞・秋で３着と一線級を相手に好走した。有馬記念は無念の除外だったが、このメンバーなら存在感は際立つ。それだけに、全てのカギを握るのは５９・５キロに設定されたハンデ。力の違いでこれを克服できれば、新年度の飛躍に勢いがつくのは間違いない。短期免許で騎乗している女性騎手Ｈ・ドイルが日本で初の重賞Ｖなるかという点でも注目だ。 　シンリョクカ（牝５・竹内）は昨年の新潟記念で待望の重賞初勝利を挙げ、エリザベス女王杯でも４着と健闘。安定感のあるレース運びで、地力強化がうかがえる。関東馬ながら、中山は昨春の中山牝馬Ｓ３着（０秒１差）で１度走ったのみ。当時より距離が１ハロン延びるのは歓迎で、あとはハンデ５６キロがどこまで影響するかだ。 　この中山芝内２０００メートルのレコードホルダーであるクリスマスパレード（牝４・加藤士）ももちろん、軽視することはできない。秋華賞５着という実績もさることながら、中山芝は３戦３勝のパーフェクト。明け４歳牝馬で５５キロは決して楽なハンデではないが、コース適性の高さを思えばあっさり勝っても不思議ではない。 　昨年の覇者リカンカブール（牡６・田中克）はその後の２戦が案外だったものの、前走のオールカマーでは１２番人気に反発して３着。こちらも中山芝は３戦して１、１、３着と相性の良さは明らかだ。５８キロのハンデも許容範囲だろう。コンビを組む津村は１月５日、千葉県生まれ。京都金杯でのバースデーＶは０９年タマモサポートで経験しているものの、昨年の中山金杯はイレギュラーな１月６日開催だったため、今年は自身の地元でもある中山で連覇＆バースデーＶを狙いたい。 　昨年４着ボーンディスウェイ（牡６・牧）は、オープンクラス初勝利となった前走のオクトーバーＳがひと皮むけたような好内容。木幡巧とのコンビも完全に呼吸が合ってきた。５７キロのハンデも他馬との比較で不利には映らない。 　ここまでに挙げた馬たちは、いずれも前々で競馬をすることが多いタイプ。その点を考えると、久々の２０００メートル戦に臨むアルナシーム（牡６・橋口）＝５８キロ＝にもチャンスがありそうだ。折り合ってレースを進められれば、切れ味を発揮できる。昨夏の中京記念に続く２度目の重賞Ｖは十分にあるだろう。 　他にも、ようやくオープン入りを果たした〝５億円ホース〟ショウナンアデイブ（牡６・高野）＝５５キロ、去勢されて３戦目で調子を上げつつあるジェイパームス（セン５・堀）＝５６キロ、定年を間近に控える宗像調教師が送り出す一昨年の覇者ラーグルフ（牡６）＝５７・５キロ＝などに浮上の余地がある。