「80代の母が倒れて骨折、入院」介護の始まりに備えること、決めること 経済ジャーナリストが実体験をもとに解説「入院中に退院後のことを決めることが大事」
入院中にやるべきこと【2】「要介護認定や認定の再調査」
酒井さんの母親は骨折の治療のために約1か月入院した。その間に筋力は落ち、トイレに行くことも難しくなっていたという。 「自宅に帰ってきてから、介護サービスを活用するには、要介護認定が必要になります。病院に入院中でも行えるので、まずはケアマネジャーさんに相談してみてください。 我が家の場合は、入院前にすでに要支援の判定を受けていました。入院して介護度が進んでいる場合には、入院中に要介護認定をし直すということもできます。 要介護認定の申請をすると、要支援1から要介護5まで7段階の認定を受け、レベルに応じた介護サービスを活用できるようになります。 要介護と認定されると、ケアマネジャー(ケアマネ)が今後のケアプランを立て、在宅介護における、必要な介護サービスの調整を行います」
入院中にやるべきこと【3】「リハビリ病院への転院を検討」
骨折などで入院・退院後、まっすぐ自宅に戻っても日常生活にすぐに戻れない可能性もある。 「地域包括支援センターで相談したケアマネさんから、『退院後にはリハビリ病院で歩行訓練をし方がいい』とアドバイスをしてくださっていたので、その通りにしました。 母親の退院の目途が立ったとき、病院の看護師さんに自宅に戻る前に『リハビリ病院に転院させたい』と要望を伝えたのですが、その看護師さんは手続きについてよくわからなかったようです。 病院で気が付いたのは、医師は治療のプロ、看護師は病院内での管理や生活・サポートのプロであり、入院中のことは頼りになっても、退院後の生活については、彼らの仕事の範疇外だということ。退院後のことについては、院内のソーシャルワーカーや、地域包括支援センター、ケアマネが決まっている場合はケアマネに相談すること。 私がリハビリ病院の選択肢を知らなければ、母は歩行も満足にできないまま帰宅し、在宅介護が始まっていたかもしれません。 改めて病院に所属するソーシャルワーカーに相談し、リハビリ病院への転院の準備を進めていただきました。 リハビリ病院に転院する場合は、病院からリハビリ病院に打診していただき、受け入れ可能かどうかの返事がきます。個人では交渉できないので、注意が必要です」