米労働市場は「買い手有利」に、ホワイトカラーの雇用が減少し競争激化
米クラウド型人事サービスのWorkdayの最新の労働市場に関する報告書「グローバル・ワークフォース・レポート」によると、求人件数の4倍のペースで求職者が増えており、雇用市場は今年劇的に変化している。同社の顧客企業による今年上半期の求人件数は前年同期比7%増であるのに対し、そうした求人への応募は同31%増と劇的に増え、採用枠をめぐる競争は激化している。 米労働統計局の最新データでは、7月末の求人数は前年同月比110万件減の770万件で、2021年1月以来の低水準となったことが示された。 求人数が減少するにつれて雇用市場はタイトになっているようで、これにより買い手市場になっている。こうした求職者と雇用側の間の力の不均衡により、企業は採用の基準を引き上げている。 Workdayのピープルアナリティクス担当副社長のフィル・ウィルバーンは「採用の基準が引き上げられ、求人に対して応募が多い中で、労働市場のダイナミクスが変化し、雇用主は新規採用の際に多くの注文をつけられるようになっている」とフォーブスに語った。「売り手市場から買い手市場に変わりつつある」 Workdayの調査では、経営者らの4分の3近くが、採用時に候補者に経験を求めることで良好な結果が得られると考えていることが示された。 この傾向は今後も続くと予想され、求職者にとって職探しはより厳しくなる一方、雇用主はこれまでより多くの候補者から選ぶことができる。 ■ホワイトカラーの採用は限定的 労働統計局が6日に発表した8月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が14万2000人増えるなど、労働市場がゆるやかに回復していることが示されているが、ホワイトカラーの雇用は依然として弱い。雇用が最も増えた部門は建設業(3万4000人増)とヘルスケア(3万1000人増)だった。 さらに、8月の就業者の増加数は、過去1年間の月平均の20万2000人を下回っている。 雇用主は、経済成長が鈍化する中での新規雇用の重要性を認識している。 「つまり、企業は雇用市場における競争の激化を利用しており、空いている職種の採用を急ぐより、いい人材の確保を優先している」とウィルバーンは指摘する。