パンツ1枚で、寒くて湿った「懲罰房」に収容される…ナワリヌイが書き残した「ロシアの刑務所」の驚きの実態
プーチン大統領による独裁が続くロシアに、民主化の希望をもたらした男、アレクセイ・ナワリヌイ。ロシア当局の手によって暗殺される直前に、何を思ったのか――。 【写真】アメリカよ、ただで済むと思うな…プーチン「最後の逆襲」が始まった! 前編記事『プーチンがトランプより恐れた男「ナワリヌイ」が、猛毒「ノビチョク」で殺されかけた瞬間』に引き続き、彼の著書『PATRIOT』から最後の叫びをお届けする。 アレクセイ・ナワリヌイ/1976年、モスクワ州生まれ。政治活動家。2011年のロシア下院議員選挙に際し、大規模なプーチン抗議集会を行い注目を集める。2024年2月16日に死亡
寒く湿った懲罰房で
2021年2月にモスクワで行われた裁判にて、ナワリヌイの収監が決まる。彼は監視が厳しい矯正労働収容所へと移送され、約3年にわたり過酷な獄中生活を送った。刑務所内の状況についても、ナワリヌイは日記形式で克明に書き残している。 2022年8月15日 壁に固定されたベッド、朝早くに回収されるマットレス、1日に1時間だけ与えられる筆記用具、毎週土曜の朝食に卵が1個。服役経験者なら、これで私の現在地がわかるだろう。そう、懲罰隔離棟だ。忌まわしい略語「シゾ」のほうが通じやすいかもしれない。囚人を苦しめ、拷問し、殺すための小部屋だ。 「シゾ」は囚人を罰する合法的でポピュラーな方法で、最も重い懲罰とされている。どれほど重いかというと、ここでの拘禁は最長15日間までしか法律で許されていない。ここに入れられたのなら、管理局をひどく怒らせたということだ。 もし管理局がもっと怒ったら、この15日ルールに「マットでお帰り」の裏技が適用される。15日間拘禁されたのち解放され、マットレスを渡され、一般宿舎で一晩過ごしたあと、再び翌朝には「シゾ」に戻され、15日間拘禁される。これは何度も繰り返されることがある。 ここはコンクリートでできた地獄の部屋で、2メートル半×5メートルの3人部屋だ。ほとんどの場合、寒くて湿った地下室のようだ。床には水たまりがよくできる。こんな場所にずっと閉じ込められるのは拷問だ。囚人服は、下にこっそり布地をあてがって、少しでも温かいように改造されている場合があるので、「シゾ」では取り上げられ、下着のパンツ一丁にされる(最近までそれすら脱がされていたらしい)。