トランプ氏とゼレンスキー氏の電話協議、マスク氏も参加 米報道
米ニュースサイト「アクシオス」は8日、トランプ次期米大統領とロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領が6日に電話協議した際、トランプ氏の支援者で実業家のイーロン・マスク氏も参加していたと報じた。 アクシオスは「トランプ政権でマスク氏が影響力を持つ可能性に加え、トランプ氏のウクライナへの対応の在り方の不確実性が浮き彫りになった」との見方を示した。 マスク氏は2022年2月にロシアがウクライナに侵攻した際、自らが創業した米スペースX社の衛星通信サービス「スターリンク」をウクライナ側に無償で提供。一方、スターリンクの通信網を切断するよう命じたり、クリミア半島で使いたいとするウクライナの要請に応じなかったりしたこともあった。またロシア寄りの和平案を独自に提案したほか、プーチン露大統領とも定期的に連絡を取っていたと報じられている。 アクシオスが関係者の話として報じたところによると、電話協議は約25分間続いた。マスク氏は、スターリンクを通じてウクライナへの支援を続ける意向を表明。トランプ氏もウクライナを支援する方針を示したが、詳細には言及しなかった。ゼレンスキー氏は電話協議はうまくいったと感じており、不安は高まらなかったという。 トランプ氏はこれまで、停戦の必要性に繰り返し言及し、「(大統領選で当選すれば)就任前に解決する」や「(就任後)24時間以内に戦争を終わらせる」などと豪語。ウクライナの勝利を望むかどうかは言及せず、米政府の軍事支援にも消極的な姿勢を示してきた。こうしたことから、ウクライナ側には望まない条件で停戦を迫られるとの警戒感がある。 アクシオスによると、トランプ氏とゼレンスキー氏が9月に東部ニューヨークで会談した際、トランプ氏は「ウクライナを見捨てないが、外交にチャンスを与えたい。私と一緒なら幸せになれると約束する」などと説明したという。 また、関係者はアクシオスに、この会談以降のトランプ氏側とゼレンスキー氏側との非公式なやり取りについて、「ウクライナ側にとっていくらかは安心できるものだった」と述べた。【ワシントン松井聡】