幸せと思っていたけど、実は不幸なのかも《推し活》メンタルに与える良し悪しとは?
「推し活」による幸福感の正体
すっかり世間に浸透した「推し活」。推し活という言葉にはハッピーでポジティブな印象を受けますが、実は推し活の“やりすぎ”がメンタルに悪影響を与えることも……。推し活がもたらす幸福感の正体や、危険性について紹介します。 【画像】やり過ぎ注意《推し活》がもたらす危険なサイン(画像7枚) 推し活によって満たされる感覚や高揚感の正体は、幸せホルモンと呼ばれるドーパミンです。ドーパミンのほかにセロトニンも幸せホルモンと呼ばれる神経伝達物質ですが、2つには違いがあります。 推し活がもたらす幸せホルモン・ドーパミンは、脳内の報酬系と呼ばれる神経系を活性化する役割を担います。アルコールや覚せい剤、麻薬など、依存を形成する薬物の多くもドーパミンの働きによるものです。ドーパミンによる快楽によって、依存状態を招きやすいとも言えます。 セロトニンはドーパミンと同じく、幸せホルモンと呼ばれる神経伝達物質。しかし、ノルアドレナリンやドーパミンを制御して精神を安定させる働きを持ち、興奮と快楽を引き起こすドーパミンとは対照的な作用をもちます。ドーパミンは高揚感のある幸せをもたらし、セロトニンが穏やかな幸せをもたらすのです。
「推し活」によるポジティブな働き
推し活によってもたらされる幸福感は、興奮や快楽につながる激しさを伴うと聞くと、なんだか危ないように思えます。もちろん推し活によるポジティブな作用もあるので、バランスが大事です。 推し活の主な行動は、グッズの購入やライブ観戦などの消費だけではなく、情報の収集やSNSを通じた共有、推しが訪れた場所を巡る“聖地巡礼”などが挙げられます。これらの行動は推し活がエネルギー源となった能動的な働きかけであり、自分と社会のつながりを得る、自分の世界観を広げる、生活の豊かさにつながるなどのポジティブな影響を与えるのです。
「推し活」のネガティブな影響に注意
私生活に彩りをもたらす推し活ですが、推し活によるネガティブな側面にも注意が必要です。いきすぎた執着や依存になると、推し活そのものが現実逃避の選択肢となり、実生活へ悪影響を及ぼす可能性があります。 また無理に推し活を続けるために、身も心も削って資金を捻出したり、推しに理解がない人との関係を絶ってしまったり、後先考えずとっさの行動にでてしまうことも。生活を豊かにするのは推し活だけではないということを踏まえて“推し”との距離感を適切に保ちながら推し活を楽しみましょう。 【まとめ】 生きるエネルギーにも、生活を狂わせる毒にもなるのが推し活です。天国と地獄のどちらに進むのかは“推し”が導くのではなく、自分の行動と選択次第です。推し活にどっぷりハマり過ぎているときは、悪い方向に進んでいても自分で気づけないこともあります。周りの声を聞けるように、生活にゆとりをもつことが大切かもしれません。
夏木紬衣