「観光スポットや土産の好みが分かる」 訪日客対応で女性中国人ドライバーが〝武器〟に
増えつつある訪日外国人客(インバウンド)の獲得を目指し、新潟市のタクシー会社が、観光・送迎専門の中国人ドライバーを新潟県内で初めて採用し、話題になっている。中国の交流サイト(SNS)を活用するとともに、県や市の後押しも受けて、すでに中国・上海からの乗客を案内するなど、まずまずの滑り出しとなっている。訪日客の獲得競争が熱を帯びそうだ。 【別カットで見る】中国人観光タクシードライバーの馬美玲さん 観光庁の宿泊旅行統計調査によると、令和5年に新潟県内に宿泊した訪日外国人は前年の約5倍の年間延べ27万5500人(速報値)。国・地域別では、台湾が最も多く約5万9千人。以下、香港約3万9千人、中国約3万1千人の順で、中国語圏が全体の半分ほどを占める。 背景には、新型コロナウイルス禍が落ち着いたことがあるとみられる。新潟空港(新潟市)の国際線で昨年、新潟-台北線と上海線の運航が再開。今年1月には、新潟-中国・ハルビン線も再開した。 ■訪日客獲得の武器に こうした状況に目をつけたのが、新潟市を中心に運行する「万代タクシー」。主に中国語圏からの訪日客を相手に、市内外の観光スポットや、空港からホテルまでの送迎を専門に行う中国人女性ドライバー1人を採用し、4月からサービスを始めた。 木下幸治旅客係長(55)は「インバウンドが増えてくれば〝武器〟になると考えて始めた。中国語圏の訪日客がどんな観光スポットや土産を好むかは、中国人ドライバーのほうが分かるはず」と説明する。 サービス開始早々の4月には、上海市からビジネスと観光を兼ねて新潟に来た夫婦が乗車。空港とホテル間の送迎のほか、免税店のある市内の観光・物産館に案内したところ、とても喜ばれたという。 市の中国事務所が乗客を紹介したり、県が中国で実施する観光プロモーションで、中国人観光ドライバーのチラシを配置したりするなど、海外からの誘客に力を入れる行政もこのサービスを後押しする。 また、中国で広く利用されているSNS「WeChat(ウィーチャット)」に万代タクシーのアカウントを開設。SNS経由で予約や問い合わせをする中国人もおり、7月に新潟市を訪れる上海の訪日客から仮予約が入った。 ■車の運転が大好き