「津軽選挙」で市議会混乱 ニッポンの金権選挙事情
青森県平川市議会で20人の議員のうち9人が公職選挙法違反(買収など)で逮捕される事態が起きました。地方議会は半数以上の議員が出席しないと開会できないため、6月12日開会の6月定例会は一時、流会が危ぶまれたほどです。票をカネで買う「津軽選挙」という独特の風土があったと言われていますが、実は似たような出来事はかつて、列島のあちこちで起きていたようです。「ニッポンの金権選挙」事情をのぞいてみました。
市議の逮捕相次ぎ一時開会危ぶまれる
平川市議会の混乱は、今年1月の市長選がきっかけでした。敗れた前市長派の市議が数十万円を使って対立候補の陣営を切り崩そうとしていたなどとして、青森県警は2月にまず市議5人を逮捕し、その後、さらに市議4人を逮捕しました(1人は処分保留で釈放)。このうち5人は有罪となり、失職や辞職で議員の資格を失い、3人は起訴勾留中です。 6月の定例議会は結局、ぎりぎりで開会できましたが、あまりの出来事に議長は開会前、「これ以上、逮捕者が出たら議会は開けない」という悲鳴を上げたほどでした。 市町村などの自治体議会は、地方自治法によって運営内容の大枠が決まっています。国会が外交や防衛、国家予算といった「オールジャパン」に関することを審議するのに対し、地方議会は主に道路や学校の建設・補修、清掃や廃棄物の処理、細かな雇用対策といった生活密着型の課題を決めます。当然、それに関する自治体予算案も議会が審議しますから、予算案が成立しなければ、自治体は予算を使えず、市民の日常生活は大きな影響を被ることになります。
地方議会の開会の条件は
自治体の議会はどうやったら開会できるのでしょうか。一番大きな要件は、出席議員の数です。地方自治法は、定数の半数以上が出席しないと議会は開けないと定めていますから、平川市議会でこれ以上の議員が摘発されたら、本当に開会できなかったかもしれません。6月議会では補正予算案を審議することになっていました。流会・延会になっていたら、平川市民の暮らしにも少なからぬ影響が出たことでしょう。 平川市議会の混乱が報道された際、「津軽人は勝った、負けたが好きだから、選挙にのめり込む」といった分析が紹介されました。「津軽選挙」という言い方もされています。でも、賭け事が好きな人は全国にいるでしょうし、お金絡みの選挙違反は青森県以外でも目にします。 そこで、各地で起きた「大量の逮捕・辞職」を少し調べてみました。