ラグビー世界最強NZに31対69で完敗も日本の過去最多得点は善戦なのか?
ラグビーのワールドカップ日本大会開幕まで1年を切って迎えた11月3日、日本代表は東京・味の素スタジアムで同大会2連覇中で世界ランキング1位のニュージーランド代表(オールブラックス)と対戦、対オールブラックス戦で過去最多となる5トライを記録も31―69のスコアで完敗した。 キャプテンのリーチ・マイケルは、「アタッキングマインドセットを持てた」。スタンドオフの田村優は後半12分にゴール前右隅へのキックパスで鮮やかなトライを演出。ウイングの福岡堅樹も持ち前の快足を飛ばし「43751人」と公式発表された満場の観客を沸かせた。このカードの対戦成績が、0-74、4-106(以上1987年)、17―145(1995年)、7―83(2011年)、6―54(2013年)だった歴史を振り返れば、「善戦」と捉えられそうか。いや、ワールドカップ8強入りを目指すうえでは反省点が目立ったと言えよう。 世界ランク1位のオールブラックスは今回、同11位の日本代表とぶつかるに際して多くの若手を起用した。10月27日の神奈川・日産スタジアムでのオーストラリア代表戦で登録した23名中、日本代表戦でメンバー入りしたのはスタンドオフのリッチー・モウンガのみ。 対する日本代表戦のメンバーも23名中18名が10キャップ(代表戦出場数)以下で、そのうち8名は0キャップという若手中心になったが、逆に劣等感はなく、怖いもの知らずの前向きな気持ちでグラウンド入りしていた。 キックオフ直後のオールブラックスは、タッチキックを蹴り損ねたり、タッチライン際でのボール処理を誤ったり。日本代表は前半15分の失点時に7-10と僅差で追っていて、歴史が動く条件は揃いつつあった。 ところが最後は大量失点で敗れた。 目に見えた課題は、自軍ボールのターンオーバーとタックルミスが重なったこと、攻守が切り替わった瞬間に失点したことだ。 「タックラーがボールに絡んでくるグレーゾーンの絡み方に対してどう対処するか、うまくいかないまま終わってしまった印象です。こうすればという案はあったのですが、(全体を通しての)実践には至らなかったですね」 こう語るのは、左プロップの稲垣啓太だ。 前半22分頃には敵陣深い位置の接点への援護がやや遅れるなか、ランナーだった味方ロックのヴィンピー ファンデルヴァルトがノックオン。その他のシーンでもサポートの遅れが自軍の反則や攻守逆転に繋がったとあり、潔かった。