ラグビー世界最強NZに31対69で完敗も日本の過去最多得点は善戦なのか?
目立ったタックルミス
オールブラックスのタックラーは、起き上がりながら日本代表の持つボールに絡んだ。 これが「寝転んだままプレーした」と見なされればオールブラックスの反則になるところだが、この日のレフリーのマシュー・カーリーはそうとは見なかった。そのため日本代表には、持ち込んだボールを確保しきれないことがあった。稲垣はこうも続ける。 「ボールキャリア(味方の球を持つ選手)にパスのオプションがないとわかった瞬間にすぐサポートし、そのままタックラーを倒していく形が取れればよかった。それができたシーンは球が出て、いいアタックもできていたのですが…」 逆にオールブラックスが攻める際は、複数名が束になって日本代表のタックラーを接点に巻き込んでいた。 その延長で失点したのが前半19分。日本代表のタックラーが素早く起きられないなか、スクラムハーフの流大がモウンガへのタックルをミス。スコアを7-17とされた。フランカーの姫野和樹は言う。 「(タックラーは)相手を地面に倒すまでいかないと。あっちは(攻撃時の)2人目のサポートが速く、なかなかこちらがボールに絡む機会がなかった。それは、見習わなければいけないと思います」 日本代表は、防御に十分な人数を割いている時もタックルミスを犯した。前半35分には、敵陣中盤右で球を回されるなかでウイングのジェイミー・ヘンリーがややイージーに弾かれる。ここから勢いに乗った相手のパスを容易に通し、14-31と点差をつけられた。 自分たちの失策と相手の上手さが重なったのが、攻守の切り替わった後の失点シーン。一例は、ハーフタイム明けの先手を取られた後半7分だ。 敵陣ゴール前左、敵陣中盤左と自軍ラインアウトを立て続けにミス。まもなくオールブラックスは首尾よく球を回し、日本代表側から見て右のスペースを破る。得点板は「19―45」と光った。 日本代表はジョン・プラムツリー・ディフェンスコーチのもと鋭い出足のシステムを仕込む。それが機能している時こそ先方のエラーを誘ったが、最後はリーチもこう悔やむのだった。 「ラインスピード(防御の出足)はすごくいい。ただ、ちょっとしたミスタックルから相手が簡単に繋いできた。また、こっちがボールを落としたのを相手が拾ってすぐにトライしていた」