ラグビー世界最強NZに31対69で完敗も日本の過去最多得点は善戦なのか?
ベストメンバーを揃えられなかった問題
オールブラックスのナンバーエイト兼ゲーム主将のルーク・ホワイトロックが「我々の持ち味が出てくるほどやることがシンプルかつダイレクトになり、好循環を生んだ」とするなか、リーチはチームの現在地を現実的かつ前向きに見据えた。 「きょうの試合では、世界の厳しさがよくわかりました。自分たちの練習のなかでも厳しくやっているつもりでしたが、もっと厳しくやらないといけないのが改めてわかりました」 反省すべき項目は、フィールドの外にもある。 日本代表はベストメンバーを組めなかった。大外と最後尾に入るバックスリー(ウイング、フルバック)は手負いの状態だった。主戦級の松島幸太朗、レメキ・ ロマノ・ ラヴァが怪我で去り、ワールドカップ経験者の山田章仁は練習で主力組の虚を突くランやキックを披露もメンバー外。結果的に、当日の先発バックスリーの間ではタックルや連係のミスが目立つこととなる。 切り札になるはずのレメキはオールブラックス戦の直前に怪我をした。 10月中旬からの宮崎合宿では走り込みと実戦練習を交互に行うなどし、筋力や持久力、俊敏性の強化に注力していた。これは運動量で勝ちたい日本代表にとっては歓迎される方針だが、故障者を生み出すリスクもある。今後は、体調管理の個別化、厳密化がより求められそうだ。 コーチ席からの交代策もワンテンポ遅れた。この日のベンチには緩急をつけられるスクラムハーフの田中史朗、突進力があるロックのヘル ウヴェらを並べていた。いずれも流れを変えるには最適な存在で、点を取り合う試合にあって投入できそうな瞬間は前半から複数あった。ところが元気なリザーブが加わったのは、点差の離れた後半9分以降だった。 それでも指揮権を持つジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチがポジティブに総括したのは、無形の進化を伝えたかったからだろうか…。 「(レメキら)6名のキーメンバーが怪我をしてベストな状態ではない。コンビネーション、自信の面で、色々と本領発揮ができないところがあったりした。とはいえ、嬉しく思っています。相手が誰であってもこのような試合展開ができるオールブラックスに対し、いいアティチュードを持って戦えたので」 日本代表は現地時間17日に敵地で世界ランク4位のイングランド代表と、同24日に同19位で、来年の本番の開幕戦でもぶつかるロシア代表とそれぞれ対峙する。 欧州遠征で、どんな収穫を持ち帰るのか。姫野が「選手同士で言い合える環境があることで、チームがもっと良くなる」と話すなど明るい雰囲気も覗かせる日本代表。目標達成へ、さらなるハードワークをしたい。 (文責・向風見也/ラグビーライター)