ベネッセが大学入試の模擬試験をメタバースでも開始、地域や学び方に関係なく、個人で受験が可能
ベネッセコーポレーションは2024年9月24日、高校生を対象とした模擬試験をメタバースで実施する試みを開始した。第1弾として、同社の模擬試験「進研模試」について、新たにメタバースを受験会場に追加し、学校で模試を受けない個人の生徒でも受験を可能にする。 【図版】発表資料を見る メタバースのプラットフォームは「cluster(クラスター)」を採用。VRゴーグルなどの特別な装置は不要で、一般的なパソコンで利用できる。サービス内でのアバターを設定し、「マイルーム」「試験会場」「コミュニケーションルーム」の3つの仮想空間を行き来することで、模擬試験を受けたり、全国の仲間とチャットや音声でコミュニケーションしたりできる。 今回のサービスの大きな特徴は、単なるインターネットを利用したCBTではなく、アバターを使って試験会場に向かったり、仲間とコミュニケーションをするための仕組みを設けたりしている点だ。同社ビジネスイノベーション部 部長の戸賀瀬知佳子氏は、高校生の学習環境について「少子化による地方コミュニティーの課題や進路・学習の多様化により、自分に合った学習環境や仲間・ライバルを見つけにくい高校生が増えている」と指摘。生徒が学ぶ場の選択肢を増やす支援が必要だと訴えた。
マーク式と記述式の2種類の模試に対応
デモンストレーションではマイルームから試験会場に向かい、模擬試験を受けるまでの様子が紹介された。仮想空間なので、移動はドアを開けるだけだ。試験会場で空いている席のパソコンに向かうと、画面がWebブラウザーによる模擬試験に切り替わる。 模擬試験の操作はパソコン、またはタブレットで行う。実施形態はマーク式の模試と記述式模試の2つだ。マーク式模試では、画面の拡大/縮小やページの移動のほか、表示画面の分割もできる。大問とそれぞれの設問を同時に表示するなどの使い方が可能だ。試験の実施前に試験の操作を練習することもできる。開発時の評価では、デジタル機器に慣れた高校生ならすぐに使いこなせたという。 もう一つの記述式模試は実際の答案用紙に記入し、答案をカメラで撮影して提出するユニークなもの。本番試験を意識し、あえて紙に記入する方法を開発したという。画像データとして提出することで、採点側でのスキャニングの手間を省くことができ、採点期間も1~2週間ほどで順次の返却を予定しているという。 メタバースを活用した模試は2024年度中に4回予定している。1回目の高校3年生向け「2024年度 第1回ベネッセ・駿台大学入学共通テスト模試(オンライン方式)」は9月25日に申し込み開始。受験期間は9月30日~11月3日となる。