ベネッセが大学入試の模擬試験をメタバースでも開始、地域や学び方に関係なく、個人で受験が可能
将来は細かな課題や用途に対応
気になる不正対策は、試験開始前の注意喚起にとどめるだけで、特に厳しい対策はとっていない。現状はあくまで個人の学力の判定を目指したものであり、たとえ不正をして得点を上げたところで実際の受験におけるメリットはなさそうだ。また、模試の範囲は幅広く、「その場で参考書を探しても答えを得ることは難しい」(戸賀瀬氏)という。将来、使い方が広がり、学校単位での利用などの事例が出てくれば、資格試験のCBTのような厳密な対策も考えられるとのことだ。 現状では試験的に設置されたコミュニケーションルームに関しても、活用に力を入れていく考えだ。戸賀瀬氏は「試験直後の学生同士のおしゃべりは、学習に良い効果がある」と、コミュニケーションの必要性を語る。ほぼ初対面のユーザーが集まるだけでは会話は生まれにくそうだが、開発中の実験では「ルームの中を走り回ってみてください」といったごく簡単な提案をしただけで、学生同士のおしゃべりが生まれたという。会話のテーマを提示するなど、ちょっとしたきっかけを与えることで活発な会話が期待できそうだ。 ベネッセコーポレーションは今後のサービスの展開としてプログラミング教育や高校生の就活支援といった幅広い用途を模索しており、各地の学生がそれぞれのスタイルで学べる空間とサービスの提供を目指していく。
文:岡地 伸晃=日経パソコン