やはり人類は宇宙で孤独か、プレートテクトニクスが示す ドレイクの式に新因子
宇宙に存在するのは、地球人だけなのだろうか。もしそうなら、なぜなのか。これまでのところ、地球外生命の探索に対しては、沈黙しか返ってきていない。このたび、その理由を明らかにしたとする研究結果を、地球科学者チームが発表した。 【画像】銀河系内に存在する、人類と交信可能な高度知的文明の数(N)を推定するドレイク方程式 鍵となるのは地質学だ。米テキサス大学ダラス校とスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)の研究者チームが発表した論文によると、地球に存在する海洋、大陸、プレートテクトニクスの3因子が、高度な地球外文明の存在を示す証拠がない理由である可能性が最も高いという。 ■ドレイクの式 学術誌Scientific Reportsに掲載された今回の論文では、「活動的で交信可能な文明」が存在しない状況が何を意味するかを詳細に調査し、ドレイクの式に修正を加えることを示唆している。1961年に天文学者のフランク・ドレイクが考案したドレイクの式は、天の川銀河(銀河系)内にある、人類と交信可能な知的文明の数を推定するために天文学で用いられる式だ。問題を数式化するためのもので、解は与えられていない。 ドレイクの式の因子の1つに、生命が発生した惑星で知的生命体が出現する割合(fi)がある。今回の研究ではここに、大きな海洋と大陸、そして5億年以上続いているプレートテクトニクスの必要性を考慮に入れるべきだと提案している。 ■プレートテクトニクス プレートテクトニクスは、地球の岩石圏(地殻とマントル上部からなる硬い岩盤層)がプレートと呼ばれる部分に分かれて運動する仕組みを説明する理論だ。この運動によって、山脈や火山や海洋が形成される。 論文の共同執筆者で、テキサス大ダラス校理学部の教授(持続可能な地球システム科学)を務めるロバート・スターンは「生命は、地球上では約40億年前に誕生したが、動物のような複雑な生物が初めて出現したのは約6億年前。これは、現代のプレートテクトニクスの作用が始まってから間もなくのことだ」と説明する。「プレートテクトニクスは、進化の機構を活性化させる。今回の研究では、その理由を明らかにしたと考えている」 プレートの移動に伴い、新たな陸塊が形成されることで、気象システムと新たな気候が発生する。風化によって栄養物が海洋に到達する一方、生息環境の形成と破壊によって生物種は進化と適応を余儀なくされる。