SNSに適応できず、しんどくなる子もーー小・中・高校生ががんばりすぎて燃え尽きる前の「SOS発信」教育 #今つらいあなたへ
高校生が発案したプログラム
このプログラムを発案したのは、智辯学園和歌山高校に通っていた高校生、岡田華奈さんだった。現在は大学1年生だ。高校2年のとき、自殺予防やメンタルヘルス対策のために、中高生が主体となって取り組む同世代向けのSOS発信プログラムを展開したいと考えて、友人と共に、和歌山の学生団体が主催するアイデアソンに応募した。 「人間関係に悩む中で、こんな自分なんて消えてしまいたいと考えるときもありました。そこから抜け出せたのは、SOSを出したときに、サポートしてくれた人がいたから。人に助けを求めることで、きっと、変えられるなにかがあります。SOSを発信することは決して恥ずかしいことではないと、同世代に伝えたいと思いました」
岡田さんはアイデアソンを通じて、和歌山大学教育学部特任助教(当時、現在は和歌山県立医科大学小児成育医療支援室主事)で心理士の藤田絵理子さんと知り合った。藤田さんは和歌山大学教育学部附属の三校(小・中・特別支援学校)の教育相談コーディネーターを兼務していた。藤田さんも子どもたちの生きづらさを気にかけていた。 藤田さんは、岡田さんの「悩みを抱える同世代を目の当たりにして、高校生が主体となって課題を解決したい。同世代間で教え合い、生徒主体で引き継いでいく内容にしたい」という声に賛同し、実現可能なプロジェクトとなるよう応援した。 岡田さんは藤田さんの助言とディスカッションを経てプログラムをまとめあげ、藤田さんが中学生向けに3部作に編成した。 1時間目の講師は岡田さんだ。岡田さんは、出嶋さんたち中学生に、『「くるしい」気持ち、どうすればいい?』というテーマで話をした。 次の授業は精神科医のビデオレターで、自分の悩みを発信するだけでなく、友だちのSOSの受け手にもなろうと伝え、信頼できる地元の専門家として思春期のこころと身体の健康にエールを送った。 3時間目のワークショップは藤田さんの担当だ。こころと身体はつながっていること、気持ちを変えるためのスイッチづくりなどについて、4人1組で生徒同士の意見交流がなされた。