内向的な人が「自分らしく生きる」にはどうすればいいのか? 内向型カウンセラーに聞いた、コンプレックスを強みに変える方法
――なるほど、すごく納得感があります。では、内向型の強みとはどのようなものだとお考えですか? 内向型の強みはたくさんありますが、ひとつの方法として、「コンプレックスを裏返す」と見えるものがあると思っています。たとえば内向型の方からよく聞く、「質問にすぐ答えられない」という悩みについて。先ほどお伝えしたように、内向型はインプットからアウトプットまでに時間がかかるので、質問にすぐ答えられない人は多いんです。ただその分、ひとりでじっくりと考えを深めることは得意です。考える時間を確保することで、より深い考えを導き出すことができます。たとえばビジネスの場なら、「その件はよく調べてお返事したいので、少しお時間いただけますか?」などと伝えて、あとからしっかり練り上げた提案をできれば、お相手からも強い信頼を寄せていただけるでしょう。 ほかにも、「大勢の場が苦手」な方は「1対1の深い話をするのは好き、得意」と言えますし、「ひとり反省会が止まらない」方は「ふり返りによって、次に生かすことができる」という強みにつながっています。 「私には何もない」と思っている方は、自分が感じているコンプレックスを裏返して考えてみると、新しい自分が見えてくるはずです。
――コンプレックスが強みに変わるとは、意外でした。 内向型の方は、コンプレックスを気にして「今の自分じゃだめだ」と思い、外向的なふるまいを目指す方がすごく多いんです。かつての私もそうだったので、お気持ちは痛いほどわかります。 ですが、外向型になろうと無理をして、がんばっては挫折して、外向型になれない自分のことがどんどん嫌いになる……それって負のループなんですよね。そのことに気づいて、断ち切ってほしいと思っています。「ないものねだり」を手放して「すでにあるもの」「持っているもの」に意識を向けてみてほしいんです。内向型の私たちに苦手なことは、確かにあります。でもそれと同様に、内向型の私たちだからこそできることもあります。すでに持っているものやできることを磨くことで、自分らしさを発揮して、輝くことができます。 「外向型にならなければいけない」という呪いを解いて、「内向型を直さず活かす」生き方に舵を切る。これこそが、内向型が自分らしく生きる道だと、私は考えています。 ぜひ、自分の持っている可能性に気づいて、「内向型を直さず活かす」生き方を叶えていただきたいと思います。 *** ●話し手 井上ゆかり 内向型カウンセラー。自身が20年間コンプレックスを感じていた内向性を受け入れられるようになった経験と独自の分析力をもとに、2018年からSNSなどで「内向型を直さず活かす生き方」を発信。これまでに内向型コミュニティの主宰や講演、カウンセリングセッションなどを行う。その後活動の幅を広げ、まじめながんばりやさんが自分にやさしくなれる手帳「pure life diary」の開発や、モヤモヤを軽くするセルフケアノート講座を主宰。これらの活動を経て、約1万人の内向型の方と関わってきた。2020年3月には日本人女性初となる内向型の書籍『もう内向型は組織で働かなくてもいい』(堤ゆかりとして/世界文化社)を出版。共著に『人生の純度が上がる手帳術』(ディスカヴァー21)がある。内向型。 [文]世界文化社 イラスト・図はすべて『世界一やさしい内向型の教科書』(世界文化社)より 協力:世界文化社 世界文化社 Book Bang編集部 新潮社
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