内向的な人が「自分らしく生きる」にはどうすればいいのか? 内向型カウンセラーに聞いた、コンプレックスを強みに変える方法
――“外向型推し”の社会のなかで、ゆかりさんご自身はどのように「自分らしく生きる」方法を見つけられたのですか? 転機は、自分が「内向型」だと自覚できたことです。 私は、10代、20代、30代と、環境や相手が変わっても同じようなことで悩んでいました。周りと比べて自分は欠点ばかりに思えて、努力不足だと、自分を否定してばかりいました。 ある日、「自分に自信がない」「自己肯定感を上げたい」とgoogleで検索して、自分の生きづらさを解決するヒントを探していました。そのときたまたま見つけたブログに内向型のことが紹介されていたのです。そのとき初めて「内向型」という言葉を知りました。 「なんで私のこと知ってるの?」と思うほど、ブログに書かれていた内向型の特徴が自分を表していて、とても驚きました。それと同時に「私だけじゃないんだ。こういうタイプの人ってけっこういるんだ」とほっとしたんです。 ――自分を「知る」ことで、人生が動き始めたんですね。 そうなんです。そこから、自分のことをもっと知りたいという思いで、内向型についてさらに調べ、本を読むようになりました。そうするうちに、内向型寄りなのか外向型寄りなのかは、ある程度、遺伝で決まるといわれていることも知りました。知識として知ったことで、少しずつ、自分の特性や傾向を受け入れられるようになっていきました。 私のこれまでの人生でも、これからの人生でも、内向型は切っても切り離せない軸なんだ。だったら、内向型らしさは自分の一部だと受け入れて、そのうえでどうしたいか、何ができるかを考えてみよう、と腹落ちしました。そこから、私の人生は少しずつ変わり始めたと思います。 いまは「内向型カウンセラー」として、内向型に関する情報発信やカウンセリングを行ったり、まじめながんばり屋さんのための手帳のプロデュースをしたりして、自分の強みを活かしながら働いています。自然が望める場所で過ごしたくて、東京から福岡に移住しました。これも、内向型の自分に心地いい環境を選んだ結果です。 ――ゆかりさんのように、内向型の方が自分の強みを活かすためにはどうしたらいいのでしょうか? 5月に出させていただいた著書『世界一やさしい内向型の教科書』(世界文化社)では、先ほどの私自身の体験談でお伝えしたように、内向型を「知る」ことからスタートすることをおすすめしています。内向型を正しく知ることで初めて強みが見え、その活かし方も見えてくるからです。 ――「正しく知る」がポイントですか? そうなんです。いまの活動をしていると、内向型の方自身も、内向型を誤解していることが多いと感じるんですね。たとえば、セミナーなどで「内向型って、どんなイメージですか?」と聞いてみると、返ってくるのは「コミュ障」「内気」「おとなしい」などのお答えです。最近は、内向型について書かれた翻訳本の影響で、「静かな人」という方もいます。でも、私はこれらの言葉って、内向型の本質ではないなと感じています。 口数が少ない内向型もいるとは思いますが、一方で、話すことが好きな人もいます。普段は人見知りでも、仲のいい友人となら話がつきない人もいます。初対面の人と話したり、大勢の前で話したりするのが苦手なだけで、社交的で明るい内向型もいます。 私の考える内向型とは、「静かな時間を求める人」です。 ――「静かな時間を求める人」、内向型の新しい定義ですね。 「覚醒レベル」と呼ばれる、心理学用語があります。これは、パフォーマンスにかかわる緊張状態のレベルで、覚醒レベルが高いと興奮・緊張した状態、覚醒レベルが低いとリラックス・落ち着いた状態だといいます。おもしろいことに、外向型の人は普段の覚醒レベルが低く、内向型の人は普段から覚醒レベルが高い状態にあるのだそうです。