骨がハサミで切れるほどふにゃふにゃに…最悪の場合「寝たきり」を招く抗炎症剤「ステロイド」の深刻な副作用
■頭痛や聴力、視力障害を引き起こす骨パジェット病 〈骨パジェット病〉 骨代謝の異常により、骨の一部または左右非対称に複数箇所の骨が変形したり、もろくなったりする病気です。 通常、骨の強度は骨吸収と骨形成のバランスが保たれることで維持されますが、骨パジェット病では病変部分の骨代謝のバランスが崩れ、骨がもろく弱くなります。そのため、ささいな衝撃でも骨折しやすくなったり、骨の変形にともなって、頭痛や噛み合わせの異常、聴力障害、視力障害、変形性関節症、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)など、全身にさまざまな症状が引き起こされたりします。 これらの患者さんに対して、私たちの外来では、十分な検査を行った上で、月に1回の静脈注射、半年に1回の皮下注射、骨形成促進剤(連日、または週1回皮下注射)など、患者さん一人ひとりにとって最適なテーラーメイド治療を行っています。 ■日本人の98%もが「ビタミンD不足」だった 2023年、私たち慈恵医大チームは日本人の健康にとって重大な報告をしました。 それは、98%の日本人が「ビタミンD不足」に該当するということ。 これは、私たちが日本で初めて明らかにしたことで、直近の医学書(『イヤーノート』)には「(ビタミンDは)通常の食事摂取で欠乏症、過剰症が生じることはない」とありましたが、それは現代においては正しい解釈とは言えないことがわかりました。 ただ、これは仕方がないことでした。というのも、従来は血中のビタミンDを正確に測る手段がなかったからです。 そこで私たちは島津製作所と共同で開発した液体クロマトグラフィー・新質量分析法(LC-MS/MS)システムを使用して、東京慈恵会医科大学附属病院新橋健診センターで健康診断を受けた5518人を対象に調査してみました。すると、これまでの常識を覆す、驚きの結果が出たというわけです(これについては拙著『100年骨』(サンマーク出版)第3章で詳述します)。 ちなみにこのシステムでは、ビタミンD同様、今まで測定できなかったビタミンKの測定も可能になりました。ビタミンKもまた、骨の強度にとってなくてはならないビタミンであることがわかっています。 ※『イヤーノート』(2023)より:『イヤーノート』は医師国家試験に臨む学生の90%が所有している、医学生の参考書。毎年改定され、最新の医学情報が反映されている。