骨がハサミで切れるほどふにゃふにゃに…最悪の場合「寝たきり」を招く抗炎症剤「ステロイド」の深刻な副作用
■いくらカルシウムを摂取しても吸収されない さて私たちがビタミンDについて調べたのは、骨の強度にとって欠くべからざる重要な役割を果たす成分だからです。 ビタミンDには、カルシウムを腸から吸収させて、骨を形成させる働きがあります。ビタミンDが足りなければ、いくらカルシウムを摂取しても吸収されず、大便として排泄されるだけとなってしまいます。 骨を強くしたいなら、まずはビタミンDを摂って、プラス骨の代謝に必要なカルシウム等を摂らなければ効果がないのです。 さらに調査では、若者ほど、ビタミンD不足の割合が高いこともわかりました。 若者の場合、ビタミンDが少ないと、骨粗しょう症というよりも、疲労骨折を起こしやすく、骨折が治りにくいといった悪循環が起こる可能性があります。 マラソン選手が時折、試合中に疲労骨折で棄権したりしますよね。あれはビタミンD不足が影響しています。 ■キノコなどからも摂取できる また、ビタミンDが決定的に足りない「欠乏症」になると起きてくるのが、先に説明した子どもでは「くる病」、大人では「骨軟化症」です。これは、骨を形成する過程で石灰化がうまくいかず、弱い骨がつくられてしまう病気です。 日本人の98%がビタミンD不足である理由は、食生活の変化があげられます。 現代社会では特に、キノコなど植物由来のビタミンDが摂取されなくなったせいではと推察されます。 ビタミンDは、骨粗しょう症だけでなく感染症や心血管疾患や神経筋疾患、自己免疫疾患発症にも関連すると言われていて、新型コロナウイルス感染症の重症化因子としても注目される重要な栄養素です。 人生100年時代と言われる現代。骨も100年健康を保つために、骨粗しょう症・骨折の予防につながるビタミンDやKの摂取はますます重要となっています。 ---------- 斎藤 充(さいとう・みつる) 東京慈恵会医科大学整形外科学講座主任教授 東京慈恵会医科大学整形外科学講座主任教授。同大附属病院整形外科・診療部長。1992年、東京慈恵会医科大学卒。2020年より現職。日本骨代謝学会理事、日本骨粗鬆症学会理事、日本人工関節学会理事などを兼務。骨代謝の診断・治療・研究で国内外を牽引する。 ----------
東京慈恵会医科大学整形外科学講座主任教授 斎藤 充