骨がハサミで切れるほどふにゃふにゃに…最悪の場合「寝たきり」を招く抗炎症剤「ステロイド」の深刻な副作用
いつまでも元気に過ごすためには、どんなことが必要なのか。東京慈恵会医科大学の斎藤充教授は「骨粗しょう症は加齢だけでなく、特定の薬が原因で起こるものもある。なかでも『ステロイド性骨粗しょう症』は患者数が多く、若い層や男性でも発症するため注意が必要だ」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、斎藤充『100年骨』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。 ■日本人は体質的に骨質が劣化しやすい 骨粗しょう症は、骨密度と骨質の善し悪しで、3つのタイプに分類できます。私たちはこのことを、閉経後の女性患者さん502名を対象に行った研究で明らかにしました。 3つのタイプは次のようなものです。 I、「骨質劣化型」……骨密度が高く骨質が悪い II、「低骨密度型」……骨密度が低く骨質がよい III、「低骨密度+骨質劣化型」……骨密度・骨質ともに低い 「骨密度が高く骨質のよい人」に比べて、Iのタイプでは1.5倍、IIでは3.6倍、IIIのタイプは7.2倍も骨折の危険性が高くなることがわかっています。 それぞれの比率は3:5:2。骨密度は高いのに骨質が悪い「骨質劣化型」が、意外と多いことにお気付きでしょうか。 これは、我々日本人が、遺伝的に酸化ストレスが高くてホモシステイン濃度が高くなる人種であることも一因です。私たちは体質的に骨質が劣化しやすい、と意識することが大切です。 そこで厄介なのが、一般的な骨粗しょう症検査では骨密度しか測らないため、骨質の劣化がスルーされてしまいがちなことです。 ■骨粗しょう症は「単なる老化」ではない 生活習慣病があったり、性ホルモンの減少がみられたりした場合、骨質の大切さがわかっている医師なら、たとえ骨密度が高かったとしても骨粗しょう症を疑い、治療をすすめます。 ですが、骨質の重要性はなかなか社会には広まっていない現状があります。そもそも骨粗しょう症検査の検診率はわずか5%。隠れ骨粗しょう症患者の割合は、約1600万人もいる想定患者のうち8割もいるとされているのです。 「単なる老化」と軽く考えている人も多いようですが、骨粗しょう症はADL(日常生活動作)の低下のみならず死亡のリスクも高める怖い病気です。一方で、きちんと専門医に診てもらい、食事、運動、薬によるケアを行えば、骨の強度はみるみる回復し、骨折を防止できます。 ですから、本稿を読んで「もしや」と思ったならば、専門外来で検査を受けて、予防・診断・治療に進んでください。