米フォートレスがハワイアンズの常磐興産にTOB、1株1650円で
(ブルームバーグ): 米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループは9日、温泉リゾート施設「スパリゾートハワイアンズ」(福島県いわき市)を運営する常磐興産を完全子会社化すると発表した。株式公開買い付け(TOB)を2段階で実施する。
第1回の買い付け期間は10日から10月24日まで。買い付け価格は1株1650円で、6日の終値に対し33%のプレミアム。常磐興産はTOBに賛同の意見を表明し、株主に第1回TOBへの応募を推奨している。買い付け予定数の下限は所有割合50.67%に当たる約445万株。
筆頭株主の常磐開発やみずほ銀行など、計15.99%を所有する株主との間で、第2回TOBへの応募で合意した。第2回の買い付け価格は1株1240円。
常磐興産は、福島県常磐炭田での採掘を目的に1884年に設立した磐城炭礦を母体とする。石炭の需要が減少する中、1966年に常磐ハワイアンセンター(現在の「スパリゾートハワイアンズ」)、1977年にスパリゾートハワイアンズ・ゴルフコースを開業した。
温泉やプール、ホテルなどを備えるハワイアンズはファミリー層を中心に支持を集め、2006年には映画「フラガール」の舞台となった。施設の老朽化が進んでいるが、新型コロナウイルス感染症の影響で財務状態が悪化し、多額の設備投資は困難な状態だ。
フォートレスは大型リゾート施設「フェニックス・シーガイア・リゾート」、国内ゴルフ場最大手アコーディア・ゴルフ・グループなどの買収を手掛けてきた。常磐興産買収後は大規模な設備投資を行い、ホテルやゴルフ場での変動価格の導入などを通じ、価値向上を図るとしている。
--取材協力:沢和世.
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Akemi Terukina