どんな投資信託を選ぶと良い? プロが解説する「50歳からの新NISA」
資産所得を得ないと、窮乏化のリスクが
「投資はリスクがあるから怖い......」。そう思って二の足を踏んでいる方も少なくないでしょう。確かに、投資にはリスクが伴います。しかし、実は投資をしないこともリスクになります。「リスクを取らないリスク」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、まさにその通りなのです。 「リスクを取らないリスク」の一つ目は、窮乏化のリスクです。資産運用をして得る収益は、資産所得と呼ばれます。読者の皆さんの多くは、所得を給与だけで得ているかもしれませんが、資産所得も給与所得も、所得ということに違いはありません。 岸田政権が打ち出した「資産所得倍増プラン」は、この資産所得をより多くの国民が得るようにすることで、国民の所得を増やそうという政策です。 新NISAは、その一環として作られたもの。従来のNISAをより使いやすく変えて、より広く国民に普及させようというのが、新NISAの意図です。 私は、新NISAによって資産運用をする人が増えることで、日本全体で生じる資産所得は年間数兆~10兆円ほどになると見ています。それを、投資をしている人だけで分配するわけです。投資をしていないと、分配を得ることができません。 20年間、毎月5万円の預金をしても、20年間で1200万円にしかなりません。銀行預金には利子がつきますが、微々たるものです。一方で、同じ金額を、同じ期間、年5%の利回りで運用できれば、上図のように、2000万円以上になります。 投資を始めて資産所得を得るか、投資をせず資産所得を得ないかの差は、数年では実感できないと思います。しかし、20年も経てば、大きな格差が生じるでしょう。 投資という行動を取らないことが窮乏化のリスクになるということを、理解していただけるかと思います。
株式や投資信託を持てばインフレにも負けない
「リスクを取らないリスク」は、もう一つあります。 一昨年からインフレが続き、家計が圧迫されていると感じている方も多いと思います。物価が高くなっていく一方で、預金の金利は非常に低いまま。銀行に預けているだけではほとんど増えないばかりでなく、実質的に資産が減ってしまっています。 日銀がマイナス金利政策を解除するという観測もありますが、金利を大きく上げるのは難しいでしょう。となると、私たちが銀行に預けている預金の金利がインフレ率を上回るほど上がることは期待できません。 このようなとき、資産を実質的に目減りさせず、購買力を維持するための最適な対応策は、インフレとともに価格が上がる資産を持つことです。その一つが、株式や投資信託なのです。 逆に言えば、株式や投資信託を持たないことは、インフレによって資産が目減りし、購買力が下がってしまうリスクを取ることになるのです。個人の資産運用には 投資信託が最適では、どんな株式や投資信託を持てばいいのでしょうか。 資産運用というと、「どの会社の株式(個別株)を買おうか」と考える人が多いかもしれませんが、東京証券取引所に上場している企業だけで数千社もあります。それらすべての情報を分析して、株価が上がりそうな企業を選び出すのは至難の業です。そもそも、そんな労力をかけられる方は、ほぼいないでしょう。 また、1社や2社だと当てが外れて値下がりする可能性もあります。そこで、いくつもの企業の株式を買うことで、価格変動リスクを抑えることができます。これが分散投資です。 しかし、個別株で分散投資をしようとすると、多額の資金が必要になります。ところが、わずか数千~1万円程度という少額から、投資のプロであるファンドマネジャーが選んだ数十~100社程度の株式などに分散投資することができる金融商品があります。それが、投資信託です。 金融資産には様々なものがありますが、個人の資産運用に最適なのは投資信託だと言えます。