トヨタ「スープラ」生産終了へのカウントダウン! 集大成となる6速MTのみのエボモデル「A90ファイナルエディション」は中身がスゴい
現行型「スープラ」の集大成車「A90ファイナルエディション」とは
今回の一部改良に合わせて発表された「スープラ」の特別仕様車「A90ファイナルエディション」は、現行「スープラ」が世界中のファンに愛されていること、また、世界各国のGTカーレースやドリフト競技、NASCARなどさまざまなモータースポーツシーンで多くのチームに愛用されていることなどに感謝を込めた、現行「スープラ」の集大成です。
エンジンの出力とトルクを向上させたほか、ブレーキやボディ剛性も強化。さらに、レーシングカーで多く採用されているKW社のサスペンションシステムやハイグリップタイヤを採用するなど、走りに関するさまざまな要素がアップグレードされています。 もちろん、そうした進化に合わせて最適なチューニングを実施。究極・最高の性能と仕様を備えた特別なモデルに仕立てられています。 「A90ファイナルエディション」のパワートレインは、吸気経路を見直し、低背圧触媒を採用することで圧力損失を低減。それに合わせてエンジン制御を最適化することで、最高出力は387ps(285kW)から435ps(320kW)へ、最大トルクは500Nmから570Nmへと向上。加速性能とレスポンスを向上させています。 この強化されたパワートレインは、オイルパンにバッフルプレートを追加してコーナリング性能向上に伴う高G域でのオイルの偏りを防止するなど、細かな部分にまでチューニングの手が及んでいるのも見逃せません。 また、アクラポヴィッチ社製のチタンマフラーを採用することで迫力あるエンジンサウンドを実現するなど、官能性の追求にも抜かりはありません。 こうしたエンジン性能の向上に伴い、冷却性能も強化。ラジエター冷却ファンを強化するとともにサブラジエターを追加したほか、ディファレンシャルギアカバーの冷却フィンも大型化されています。 もちろん、新しいシャシーセッティングの採用に伴い、アクティブディファレンシャルの制御を最適化。旋回中のアンダーステアを抑制し、ハンドリングを改善しています。 ブレーキは、フロントにブレンボ製の19インチブレーキと高μブレーキパッドを採用することで制動性能を強化。さらに、前後にフローティング構造のドリルドディスクを採用し、スポーツ走行時においても優れた制動力を確保しています。 併せて、ステンレスメッシュのブレーキホース採用で、制動時のホース膨張による圧力伝達損失を抑制。強化されたブレーキシステムの性能を最大限引き出しています。 ●レース参戦で得た知見などを元に特別なボディを開発 「A90ファイナルエディション」のサスペンションにおけるポイントは、なんといっても「GRスープラ GT4」も採用するKW製サスペンションの採用です。 伸び側16段、縮み側12段の減衰力調整を備えることでさまざまな環境に対応するほか、前後スタビライザーを強化することで限界性能のアップも実現しています。 細かい部分にも抜かりはなく、フロントロアアームに強化ゴムブッシュ、フロントコントロールアームにピロボールジョイントを採用したほか、リアのサブフレームを「GRスープラ GT4」と同じアルミリジッドマウントとすることで、サスペンションとボディの一体感が向上。ロードインフォメーションが伝わりやすくなり、正確なハンドリングに貢献します。 また、フロントカウルブレースを強化した上で、フロント床下にブレースを追加。さらに、リア床下のブレース構造を強化したほか、室内には強化ラゲージクロスバーを採用するなどボディ剛性を徹底追求し、ダイレクト感やグリップ感、コントロール性を向上させています。 そうした進化に合わせて、電動パワーステアリングの制御を最適化。ダイレクト感のあるステアリングフィールを実現し、コントロール性能を向上させたほか、前後のキャンバー角を見直すことでグリップを高め、コーナリング時の安定性を向上させています。 「A90ファイナルエディション」の足元には、10mm拡幅されたハイグリップタイヤ・ミシュラン「PILOT SPORT CUP 2」を装着。コーナリング時の安定性および限界性能をさらに向上させています。また、フロント19インチ、リア20インチの軽量ホイールには、TGRのロゴを刻印されているのも見逃せません。 「A90ファイナルエディション」は、エクステリアも大幅な進化を遂げています。 「GRスープラ GT4」の開発を担当するTOYOTA GAZOO Racing Europe(以下、TGR-E)が空力性能開発を担当。TGR-Eがモータースポーツ参戦で得た知見を元に風洞実験施設を用いてテストを重ね、開発されました。 それにより編み出されたカーボンフロントスポイラー、カーボンフロントカナード、フロントセンターフラップを採用。さらに「GRスープラ GT4」を想起させるスワンネック構造のカーボンリアウイングを装備することで、前後の空力バランス、ダウンフォース、ドラッグを最適化し、接地性とハンドリング性能を向上させています。 また、冷却性能を高めるべく、ボンネットにはカーボンダクトを追加。脱着式のインナーダクトは取り外すことで冷却性能アップが期待できます。 そんな「A90ファイナルエディション」は、スペシャルなインテリアも見どころです。 シートパッドにアルカンターラを使用したレカロ製カーボンフルバケットシート「RECARO Podium CF」が、走行性能の向上によって増すGに対してしっかりとドライバーの体をホールドし、正確なドライビング操作をサポートします。 また、ドライバーズシート回りを赤でコーディネートするなど、ドライバーオリエンテッドのコックピットに仕立てているのもポイントです。 さらに、ステアリングホイール、ドアトリム、センターコンソールニーパッド、センターアームレスト、シフトノブブーツ、インストルメントパネル中央部の表皮にアルカンターラを使用するほか、赤いシートベルトや専用カーボンスカッフプレートの採用など、台数限定モデルならではの特別感も演出しています。 * * * なおTGRは、限定車「A90ファイナルエディション」を集大成として、現行「スープラ」の生産終了を予定しているとアナウンスしています。 とはいえ今後も、モータースポーツ活動を通じて「スープラ」を鍛え続けていくといいますから、次期型の登場にも期待が高まります。
VAGUE編集部
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