生成AIでコンタクトセンターを改革 住信SBIネット銀が効率性の「次に目指すもの」
人とAIの共存、品質向上への道筋
AIの活用が進む中、住信SBIネット銀行が次に見据えるのは、人による対応の質の向上だ。「AIなど無人で対応する部分が多くなってきた分、人が対応する場面では、それに見合った品質を提供していかなければならない」と山本氏は強調する。 特に重視するのが、顧客一人一人のニーズに寄り添った対応だ。「寄り添って話を聞いてほしい方、相談に乗ってほしい方には、しっかりとお話を伺い、親身に答える」(山本氏)という。対応品質の向上に向け、オペレーター同士で応対のテクニックを共有する場を設けたり、優れた対応をした職員を表彰したりする取り組みも行う。 ただし、これは単なる接客の丁寧さを意味するわけではない。「テキパキと用件を済ませたい方もいれば、じっくり相談したい方もいる。経験豊富なオペレーターは、そうした違いを会話の中で感じ取って対応を変えている」(山本氏)という。 AIアシスタントについても、課題は山積みだ。より自然な対話の中で顧客の真の要望を引き出せる仕組みの実現には、まだ時間がかかる。 金融サービスのデジタル化が進む中、顧客との接点は限られたものとなっている。住信SBIネット銀行の取り組みは、AIの活用で効率化を図りながら、人による対応の質を高めるという方向性を示した。 一方で、応対品質と業務効率の両立という古くて新しい課題は依然として残る。NPSは繁忙期に低下する傾向にあり、顧客満足度の安定的な向上には至っていない。テキストと電話、AIと人、それぞれの特性を生かした最適な組み合わせを見いだす試行錯誤は、まだ続きそうだ。 (金融ジャーナリスト 斎藤健二)
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