フランスの教育は日本とまったく違う! 義務教育は3歳から&小学校で飛び級・留年は当たり前。家庭環境や公立・私立に関わらず教育格差をゼロに。その結果は?
いろいろな人がいる。だから、助け合いも自然に。
いろいろな環境の子どもが一つの学校に集まると、どういったことが起こるか? 筆者の個人的経験から、「これぞメリットだ」と感じるのは、他人を理解することや助け合いが自然に起こることです。 長女が小学生だった2010年、修学旅行にロンドン日帰りを計画したやる気満々な先生がいました。始発のユーロスターで出発して終電で帰る、という強行プランでしたが、生徒も保護者も大賛成。ただし、子ども1人分のユーロスター乗車料金を捻出できない家庭もあります。そこで、「学校前で手づくりクッキーを販売して費用を集めよう!」というイベントが企画されました。子どもたち自ら家でクッキーを焼いて、スタンドで販売して。収益金の総額が後日、学校を通じて公表されました。 これは保護者たちのイニシアチブで起こった助け合いの動きですが、その一部始終を体験した子どもたちに影響がないわけがありません。事実、夏休み前の学校のお祭り行事に参加した時は、「ママ、ポールはお金がなくて何も買えないんだよ、このチケット(食券・ゲーム券)をあげてもいい?」と長女が駆け寄ってきました。見ると、ポールくんのまわりに友だちが集まって、みんなものすごい勢いで彼にチケットを手渡していたのです。結果、ポールくんは誰よりもクレープをたくさん食べ、ゲームもたっぷり楽しむことができた、ということがありました。 筆者の家庭も裕福ではなく、長女にとっては限りある大切なチケットでしたが、ポールくんにあげることを選んでいました。いろいろな環境の子どもが集まる学校で、体験から学ぶいい実例を見せてもらった出来事です。 こんなふうに、「いろいろな人がいる」ことを理解する場面は、先生がストで休む機会にもあると言えます。なぜ先生は休んだのか?子どもたちは考えます。そして、一人一人に権利があること、そしてそれを尊重すること、たとえ反対意見だとしても相手の話を聞くこと、などを学びます。これは同時に、自分自身も意見を持って、発言して、尊重される権利があると知ることにつながっています。
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