実は10代より多い「40代の予期せぬ妊娠」 足りない知識と“からだの自己決定権” #性のギモン
NHKの調査で「避妊をするかどうか、誰が決めているか」を尋ねたところ、「パートナーが決めている」と「その場の流れで決まる」と答えた人は男性で21.6%、女性で28.9%。特に40代、50代の女性では3割以上が「避妊を自己決定できていない」ことが分かった。 産婦人科医の佐久間さんは、予期せぬ妊娠や中絶の相談を受けたあとは必ず避妊方法についても伝えているが、パートナー間の関係性まではなかなか踏み込めないもどかしさを感じている。 「40代以上は特に『性について口にするもんじゃない』という世代で、正面から避妊について話すことが難しい。夫との力関係のために『避妊して』と言い出せなかったり、ご本人も避妊について考えることをやめてしまったりしているようなケースもあります。やっぱり何でもコミュニケーションなので、夫婦でしっかりコミュニケーションが取れるって大事になると思います」
“オトナ世代”の避妊、男性にも教えてほしい
取材の中では、避妊を学び直す必要を痛感している、という声も寄せられた。40代前半で、3人目の子どもを予期せず妊娠したカオリさん(仮名・49)。夫婦で産婦人科を受診すると待合室は女性ばかりで、病院からは「ご主人は院外で待機してください」と指示された。 医師から、40代の予期せぬ妊娠が多いことや女性主体の避妊方法に加えて、男性の避妊や避妊手術についてもひとりで説明を受けた。それを後から夫に伝えなければならないのがつらかったという。 「正直、男性の避妊については私を経由するよりも直接説明してもらったほうが理解できると思います。全身麻酔をして中絶手術するという話や、生死に関わることだというのも、先生から夫に直接説明してほしかったです。夫はその後もコンドームをつけずにしようとして、その場その場で拒否しているのですが、この人分かってないんだな、と思ってしまいます」(カオリさん) コンドームをしていても装着に失敗したり破れたりするなどの恐れもあると知り、男性ができる確実な避妊法として「避妊手術」についても夫に提案してみたが、話し合いにはならないまま流されてしまった。いま、性行為自体が嫌だと感じている。 「夫のことは尊敬していてパートナーとしてはずっと好きでいると思いますが、行為については無理かな。もうリスクは取りたくないです。胎児の命や妊娠出産の体の負担を考えれば、避妊手術をしてもいいんじゃないかと思うのですが、(夫には)中絶のことが軽く受け止められているのかな。重みがやっぱり男女で違うのかなと思います。予期せぬ妊娠は女性の問題として取り上げられますが、男性はどう思っているんでしょうか。男性同士でも話してほしいし、どういう考えを持っているのかを知りたいです」(カオリさん)