実は10代より多い「40代の予期せぬ妊娠」 足りない知識と“からだの自己決定権” #性のギモン
「もう避妊しなくていい」「膣外射精で十分」希薄な避妊意識
「予期せぬ妊娠」というと、10代など若い世代の妊娠や中絶がニュースなどで大きく取り上げられがちだ。しかし厚生労働省の統計では、40代の中絶件数は20歳未満を上回る。人工妊娠中絶の総数はこの20年間、大幅に減少し続けているが、世代別でみると40代の中絶件数は最も減少率が低くなっている。 この背景に何があるのか。大阪市内の産婦人科クリニックの佐久間航(さくま・こう)医師は、40代で予期せぬ妊娠に至った女性たちと長年向き合ってきた。その多くが夫との間での妊娠で、すでに子どもがいる夫婦も少なくない。 佐久間さんはこう説明する。
「30代後半・40代以上の世代では、年齢的なことや経済的なことなどから、中絶を選択する方も珍しくありません。『40超えたからもう子どもできへんわ』っていう意識は皆さんあると思うんですけど、排卵が起きている限りは妊娠の可能性があります」 「相手の男性側も同年代かちょっと上の年代で、『もう大丈夫や』と避妊の意識が希薄だったりして、若い人に比べると無防備かなと感じることもあります。『ちゃんと避妊しとったんですけど』と言うのでどんな方法か聞くと、『膣内では出しません』みたいな。膣外射精は避妊じゃないですよっていうのはお伝えしていますけども……。経験則で『これまで妊娠しなかったから今回も大丈夫だろう』というのが一番危ないんです」 NHKは今年8月、性に関する意識や経験について、一般社団法人SRHR Japanと共同でインターネット調査を行った。調査結果からは、40歳前後以上の“オトナ世代”の避妊意識に関する課題が浮かび上がった。
主な避妊方法を尋ねたところ、全ての世代で圧倒的に多いのがコンドームの使用。一方、40代と50代男性では15%ほどが「膣外射精」と回答し、20代男性の4倍以上にのぼった。射精の前から分泌液の中には精子が含まれていて妊娠する可能性があるため、膣外射精は有効な避妊法ではないとされている。