前代未聞の”紳士協定違反”を犯した福岡のクルークスは謝罪もルキアンは審判団批判…当事者2人がSNSで異なる意見を表明し再び物議?!
しかし、うつ伏せになってピッチ上に倒れていたクルークスは、福岡がスローインを獲得するまでの流れを把握していなかった可能性が高い。ゆえにスローイン後のルキアンの動きにとっさに反応して、ゴール前へ詰めていったと考えられる。 その後、事実に気がついたからか。前半を終えたクルークスは名古屋ベンチへ向かい、長谷川監督と握手およびハグを交わしている。さらにインスタグラムもこう締めた。 「僕は最後までアビスパ福岡の為に闘います。一緒に乗り越えましょう」 迎えた後半。クルークスのアシストから12分にMF平塚悠知(26)が決めたJ1初ゴールで追い上げるも、22分の宮の退場が響いた福岡はそのまま敗れた。これで2分け5敗と7戦続けて白星から遠ざかり、順位を前節の12位から15位へ下げた。 16位のガンバ大阪と勝ち点28で並び、得失点差で上回る残留争いにいよいよ巻き込まれたからこそ、クルークスは「一緒に――」と訴えた。名古屋に献上した2点目が精神的に響き、尾を引く最悪の事態を避けたい長谷部監督も、ハーフタイムや試合後のロッカールームで「理解してくれ」と選手たちへ気持ちの切り替えを訴えた。 今後をチーム一丸になって戦っていく意味で、インスタグラムで審判団を非難し、自らのプレーを正当化していたルキアンの存在がクローズアップされてくる。投稿で「現時点では何を考えるべきか整理つきません」と複雑な胸中を明かしたブラジル人フォワードは、最後を謎に満ちた謝意で締める今後への決意も綴っている。 「アビスパのユニフォームを着ている限り、私はピッチ上で自分のベストを尽くします。アビスパ、サポーターの皆さんは下位で苦しむのはふさわしくないです。ありがとう」 来シーズンを3年連続でJ1の舞台で戦うために、7月10日の京都サンガF.C.戦を最後に遠ざかっている白星はのどから手が出るほどほしい。 しかし、勝敗うんぬんの前にサッカー界に生きる者として、ルールを超越して遵守すべきものもある。 対戦相手へのリスペクトの念を欠いたとしてフェアプレー精神を貫き、毅然と筋を通した長谷部監督のもとで福岡は残りわずか6試合となったJ1戦線を、ベスト8進出の天皇杯とベスト4進出を果たしているYBCルヴァンカップを戦っていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)