【このUFOならぬNSUなんぼ?】ウェッジシェイプカーの先駆け「NSU Ro 80」ピニンファリーナデザインのワンオフモデル その価格は?
NSU by ピニンファリーナ
1977年までに、正確には37,406台が製造され、そのうちの1台がイタリアのピニンファリーナに納入された。デザインスタジオは「Ro 80」の後継車のデザインを任された。標準的な「Ro 80」をベースに、「2 Porte +2」が誕生した。このデザインを担当したのは、「フィアット130クーペ」や、素晴らしい「フェラーリ512Sモデューロ」のデザインも手掛けたパオロ マルティンだった。
「NSU Ro 80 2 Porte +2」は、1971年のトリノモーターショーで初めて公開され、ワンオフモデルは大きな話題となった。このモデルは量産車をベースにしていたものの、オリジナルのデザインはほとんど残されていなかった。その名の通り、この「NSU」は大人2人と子供2人が乗れる2+2の車として構想された。リアドアはそのまま残されたが、完全に再設計された。走行方向とは逆方向に開くドアだが、フロントドアが開いているときのみ、開くようになっている。これはBMW i3やマツダRX-8と同様の機能だ。
賢い折りたたみ式ルーフ
ルーフ構造もまた素晴らしいもので、ルーフの大部分が後方に折りたたまれ、トランクリッドの上に置かれる仕組みは、例えば「フェラーリ575スーパーアメリカ」を彷彿させる。利点としては、折りたたみ式ルーフでもトランクの容量は変わらないところだ。
この1台限りのモデルのラジエーターグリルはブラックでオフセットされており、ピニンファリーナはルーフラインを反映したシルバーのツートンペイントも選択した。特に目を引くのは、Cピラーとリアサイドパネルに多数設けられたエアベントで、これは視覚的な目的のみであり、フロントにはヴァンケル(ロータリー)エンジンが搭載されている。
その後、各種の展示会で展示された後、1994年にはオランダで開催されたNSUの大規模な集会で「Ro 80 2 Porte +2」が展示された。その1年後、風変わりな車コレクターであり部品ディーラーでもあるルディ クライン氏が、彼のコレクションの最後の1台として、友人であるトーマス タフェット氏からこの唯一無二の車を入手した。同年、NSUはカリフォルニアのカーミーティングに1~2回登場した後、アウディ博物館に恒久貸与された。
この車の推定価格は高い?それとも安い?
2024年10月末、オレンジ色の内装が目を引くこの唯一無二の車は、オークションハウス「RMサザビーズ」の「ジャンクヤード: ルディ クライン コレクション」の一部として出品されている。「Ro 80」は、道路走行不可のオリジナルの状態であり、推定価格は60,000~80,000米ドル(約900万円~1,200万円)相当だ。価格よりも、これは、NSUまたはピニンファリーナのファンにとっては、またとない機会だ。
Jan Götze