妊娠中に足が大きく変化して元に戻らない場合も、何が起きている? 予防策は
靴のサイズが変わる場合も
妊娠すると靴のサイズが変わることもある。多くの場合、0.5センチばかり大きくなる程度だが、それ以上大きくなったという女性もいる。また、出産後は元のサイズに戻ることが多いが、一生戻らないこともある。 過去の研究で、足が元に戻らない原因はアーチが下がるためであることが示唆されている。しかし一部の研究者は、個人のホルモン受容体の感受性も大きな役割を果たしているのではないかと考えている。 妊娠中は誰でもホルモン値が上昇するが、シーガル氏によると、足の長さが長くなり、アーチが下がることで大きな影響を受ける女性は40%ほどだという。「ホルモン受容体の違いが原因かもしれません」。とはいえ、この分野の研究はまだほとんど進んでいないと氏は付け加えた。
予防策は?
妊娠中に生じるさまざまな足の問題を回避する予防策はある。ペドロソ氏は、ときどき足を心臓より高く持ち上げる、ひざ上まである着圧ソックスを履く、定期的に足のストレッチングやマッサージをする、頻繁に軽い運動をする、塩分を控える、といったことを勧めている。 靴も重要だ。ハリス氏は、自身の患者には必ず、足の形に作られた履き心地のいい靴、つまり先のとがっていない靴を履くよう指導している。 「つま先を広げられるくらいの余裕があり、足と足首のむくみにも対応し、足の筋肉を刺激して徐々に強さと柔軟性を高めるような靴を選ぶとよいでしょう」 さらに、サイズが合っているかどうかも確認しよう。2018年7月に学術誌「Journal of Foot and Ankle Research」に発表された論文によると、63~72%の人は間違った長さか幅の靴を履いているという。 「足の指が締め付けられていたら、正しいサイズではないということです」と話すマクドウェル氏は、年に1回は専門家に足のサイズを測ってもらうよう勧めている。 そして、靴の構造も考慮に入れよう。「妊娠中は、土踏まずのアーチを常に支えるようにすることがとても重要です」と、シーガル氏は言う。 妊娠中や出産後になぜこれほど足が変化するのかについては、まだ十分な科学的研究がなされていない。しかしシーガル氏をはじめとする研究者たちは、もっと真剣に受け止めるべきだと主張する。ゲラー氏も言う。「これらは仮説でもなければ迷信でもありません。現実に起こっている問題なのです」
文=Fiorella Valdesolo/訳=荒井ハンナ