韓国下回る日本の『稼ぐ力』労働生産性の低さが課題 経済復活のカギは?
豊かさの目安と言われる1人当たりの名目GDPが、初めて日本が韓国を下回ったことが分かりました。 【画像】労働生産性 『AI導入』でアップ!冷凍餃子工場の実例 国民1人当たりの“稼ぐ力”が韓国に抜かれ、貧しくなる日本の経済復活のカギとは、何でしょうか。
■日本の『稼ぐ力』22位で韓国下回る 要因に高齢化も
日本の1人当たり名目GDPが、初めて韓国に抜かれました。 日本は2000年には、1人当たりの名目GDPがOECD加盟38カ国中2位でした。これが、2012年をピークに下がっていき、2023年は22位。韓国は21位で、韓国に抜かれたのは、比較可能な1980年以降で初めてです。 さらに、2024年は台湾にも抜かれる見通しです。 『GDP』とは、国内総生産のことです。 第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生さんによると、 「名目GDPは、国内で生み出されたモノやサービスの『もうけ』の合計」ということです。 1人当たりの名目GDPとは、『もうけ』を総人口で割ったもので、『国民1人当たりの「稼ぐ力」』を表しています。 この1人当たりの名目GDPですが、日本が韓国に抜かれた要因の一つ目が、高齢化です。 日本は、2024年9月の時点で、総人口に占める65歳以上の割合が29.3%。世界最高です。 総人口のうち、高齢者が多いので、働いていない人が多いということになります。 この割合が、日本は断トツです。 今回抜かれた韓国は、19.3%、次に抜かれる台湾は、18.6%です。 日本の働き手は、どんどん減っています。 15歳から64歳までの生産年齢人口は、1995年の8716万人をピークに減り続けています。 40年後の2065年には、4529万人になると推計されています。 日本の“稼ぐ力”です。 熊野さんです。 「日本の高齢化率は、断トツの世界1位。結果的に働いていない人の割合が高いため、1人当たりの『稼ぐ力』が低い」 つまり、1人当たり名目GDPが低いということになります。
■円安も影響 1人当たりの『稼ぐ力』が低いワケ
1人当たり名目GDPが韓国に抜かれた2つ目の要因は、円安です 国際比較はドル建てで行われます。 1人当たり名目GDPは、円換算だと、 ●2021年442万円、 ●2022年は12万円増えて454万円、 ●2023年は25万円増えて479万円、 3年連続の増加です。 ところがこれをドルで換算すると、 ●2021年4万70ドル、 ●2022年は5958ドル減の3万4112ドル、 ●2023年は263ドル減の3万3849ドル、 3年連続で減少となります。 韓国や台湾と比べると、2023年の1年間でのドルに対する価格の変動は、 ●台湾ドルは、マイナス1.54% ●韓国ウォンは、マイナス2.87% ●日本円は、マイナス7.93%と断トツです。 熊野さんによると、 「日本の経済規模をドル建てで比較すると、大きく下がる。輸入に頼る食糧やエネルギーの値段が上がって、生活も苦しく、日本は相対的に貧しくなっている」ということです。