「何か仕事ないかな」SNS投稿が"転落の4日間"の始まり...特殊詐欺の"経験者"が証言する『闇バイト応募から逮捕まで』 家族への危害をおそれ「やりますと言うしか...」
【転落の4日間/1日目】 DMで日給5万円とメッセージが届く
AさんがSNSで書き込みをしてからほどなくして「仕事ありますよ。日給は5万円です」というダイレクトメッセージが届きます。「やらせてほしい」と返信をすると、信頼できる人か確認したいということで、身分証明書や実家の住所を求められました。 また、やり取りのために『テレグラムを入れておいて』と連絡が届きました。テレグラムは秘匿性が高く、後でメッセージのやり取りを消すことができるために犯罪にも使われてしまうアプリです。つぶやいた数時間後で、ここまで事が進みました。Aさんはこの時点で、何も怪しいと思っていませんでした。
【転落の4日間/2日目】 おかしいと気づき拒否するも脅され…
そして翌日の朝、Aさんの口座に5万円が入金されます。これは給料でありません。このお金を使って、仕事で必要なもの(ジャケット・ビジネスバック・プリペイドカード(10枚~20枚)・はさみ・封筒など)を買うよう指示されます。 そして、これを買い揃えている間に新たに番号が送られてきました。コンビニのコピー機で指定された番号を入力して出てきたのは、前日に自身が送った顔写真が入った、偽造の警察手帳。この瞬間、Aさんは「これはおかしい」と気づき、「やりません」とはっきり言いました。 そうすると「○○に家があるんだよね?」と脅されました。怒鳴ったりするのではなく優しい口調で「燃やすこともさらうことも」「親御さんに何があっても知らないよ」ということを言われたそうです。自分が殺されないために、そして親に害が及ばないために、“せざるを得ない状況”に陥ってしまいました。冷静な判断があればここで警察に行くべきですが、「警察にも話は通じている」などと言われ、警察に行くこともできませんでした。Aさんははこの時の状況を「八方ふさがりだった」と振り返ります。
次の日、プリペイドカード数枚を封筒に入れたものを準備するように言われ、それを持って指定の住所へ行きます。そこには70代後半の女性が。私服警官を装ったAさんにイヤホンを通じて逐一指示が出され、指示役が言った通りのことを女性に伝えます。 女性にはすでに「掛け子」から、キャッシュカードが不正利用されていると連絡しています。そこに、警官に装ったAさんが、女性が用意した複数枚のキャッシュカードなどを女性の目の前で封筒に入れます。そして、「しばらく誰も使わないように封筒に印鑑で封をしましょう」と女性に言い、実印を持ってくるように伝えます。その実印を取りに行っている隙に、Aさんが用意した同じ封筒とすり替えます。中身がすり替わっていることを知らない女性に、「不正利用の確認する間、絶対誰にも渡したり開けたりしないで」と伝えて封筒を返したということです。 その後、指示役から「すぐに出で銀行に行け」という指令が来たといいます。Aさんは車でATMへ向かい、キャッシュカードで現金を引き出します。口座に限度額の50万円以上があるものは50万円、50万以下のものは限度額の1000円単位まで引き出します。防犯カメラを警戒するAさんに、指示役は説得を行います。「金で警察は丸めこめる」「監視カメラも銀行に言って止めている」「もらうのは(相手が)不正に得たお金」などど、言葉巧みに納得させてきたと言います。