ウクライナ、155mm砲弾と榴弾砲を国産化 支援依存の軽減急ぐ
ロシアとウクライナの戦争はドローン(無人機)や電子戦システムといった現代的な技術で変容しているとはいえ、その帰趨はおそらく、どちらの側が大砲と砲弾を持続的に使用していくことができるかに左右されるだろう。両国の軍隊とも砲兵重視という点では旧ソ連のドクトリンを引き継いでおり、ロシア軍は1日におよそ1万発、ウクライナ軍は米国の軍事支援が再開する前の数字だが1日およそ2000発の砲弾を発射している。 ウクライナは当初、ソ連時代からの備蓄である152mm砲および砲弾に頼り、それを北大西洋条約機構(NATO)諸国から供与される155mm砲および砲弾で補っていた。現在は155mm榴弾砲と155mm砲弾をどちらも自国で生産できるようになっており、砲システムに関して国内の生産体制を強化しつつある。 2022年2月にロシアの全面侵攻を受けて以降、ウクライナは155mm砲弾を自国で生産する能力の開発に投資してきた。ウクライナの前戦略産業相で現在はボロディミル・ゼレンスキー大統領の顧問を務めるオレクサンドル・カミシンは、ウクライナ国内で155mm砲弾の連続生産が始まったことを今月明らかにしている。現在の砲弾生産数はまだ多くないようだが、カミシンは詳細は伏せつつ、防衛装備の国内生産量が年末までに3倍に増えるとも語っている。 ウクライナは今年2月、ドイツのラインメタル社との間で155mm砲弾をウクライナで共同生産することでも合意している。ウクライナがすでに独自生産している施設と、ラインメタルとの合弁施設での生産が軌道に乗れば、1日2000発分は十分に自前で賄えるようになる可能性がある。 ウクライナの国産155mm砲弾はNATOの規格に適合するように設計されており、米国製のM109、ポーランド製のAHSクラブ、英国製のAS-90など、西側諸国からウクライナに供与されている自走榴弾砲から発射できる。ウクライナの生産設備では、標準的なHE弾(通常弾)のほか射程延伸弾も生産できるとされる。