ウクライナ、155mm砲弾と榴弾砲を国産化 支援依存の軽減急ぐ
ウクライナは自国で開発した榴弾砲の生産も強化している
弾薬があっても、発射するシステムがなければ役に立たない。それに関連して、ウクライナは西側製榴弾砲への依存度を引き下げる努力もしている。 2014年にロシアにクリミアを侵攻されたあと、ウクライナは国産の自走榴弾砲の開発に着手した。2S22ボフダナである。ボフダナも155mmのシステムで、射程は通常弾で40km、射程延伸弾で50kmとなっている。シャーシも国産の6輪駆動の軍用トラックであるKrAZ-6322のものを流用し、専用の装軌車両などの設計にかかる時間を省きつつ、外国部品への依存の軽減も図った。 ボフダナは2018年にお披露目され、2021年の初期テストを経て2022年に実戦投入された。ただ、使用数はまだあまり多くないとみられ、オランダのOSINTサイト「オリックス(Oryx)」によると、確認された損害数はM109の70両、AHSクラブの36両、AS-90の12両に対して、ボフダナは8両にとどまっている。 それでもボフダナはこの戦争で重要な役割を果たしてきたし、今後はさらに重要な役割を果たすことになるだろう。ゼレンスキーは最近、ボフダナの月間生産数は「力強い」とし、ウクライナの榴弾砲月産数は欧州で最多になっていると述べている。 繰り返すと、ウクライナが以前から用いてきた旧ソ連製重砲の標準的な口径が152mmであるのに対して、ボフダナの口径はNATO規格の155mmとなっている。152mmから155mmへの移行は、NATO規格への適合性を高めて、兵站面や戦略面で西側の防衛フレームワークへの統合をより円滑に進められるようにしたいというウクライナの意向を反映している。 ウクライナは152mm砲弾の生産能力も持つものの、それを発射する榴弾砲はソ連時代からの備蓄品である。152mm榴弾砲の現在の主要生産国はロシアであり、戦争の相手国である以上、ウクライナは新たな152mm榴弾砲をロシアから調達することもできない。