進化する OOH 広告。認知度向上手段から効果的なコンバージョンツールに
コンバージョンツールとしてのOOH
一方でOOH広告の経験が豊富なブランドは、その役割を単なる認知度向上の手段ではなく、効果的な顧客コンバージョンツールと捉えている。 10年近く広告看板や地下鉄広告を掲出してきたバッグブランドのダグネドーバーにとって、OOH広告は新しいものではない。ダグネドーバーの共同創設者兼COOであるディーパ・ガンジー氏によると、同社の最新のOOHキャンペーンは新しいトラベルバッグコレクションの宣伝が中心だったという。このキャンペーンは、新商品発売とホリデーシーズンに合わせて、2023年度第4四半期を通じて実施された。 「同社は2023年後半にトラベル1.0(Travel 1.0)コレクションを発表したが、これは通勤者と旅行者が多い場所をターゲットとしたOOH広告を通じて、ダグネドーバーと新しいコレクションのストーリーを語るのに絶好のタイミングだった」とガンジー氏は話す。ニューヨーク市でターゲットとなった場所としては、モイニハン駅(Moynihan Station)、ロングアイランド鉄道(Long Island Rail Road、以下LIRR)の列車、JFK国際空港(JFK International Airport)などがある。 「キャンペーンの焦点は、強烈な視覚イメージと魅力的なコピーを通じて、潜在顧客の興味を喚起させ、当社の素晴らしい商品についてもっと知ってもらうことだった」と同氏は語る。ダグネドーバーのバッグが備える整頓機能は強調すべきもっとも重要な特徴であるため、広告は特に旅行者のライフスタイルニーズをターゲットとした。たとえば、LIRRのデジタルスクリーンでは、ダグネドーバーのベストセラーである通勤バッグを使ったパッキング動画を放映した。
ターゲティングの実現も可能か
ガンジー氏は、時間の経過とともにOOH広告の効果に対するブランドの期待が徐々にレベルアップしてきて、バッグを購入する可能性が高い、より特定の層をターゲットにするという狙いが強まったという。 「確実に進化している。ニューヨーク市の地下鉄にはじめて掲出したときは、当社もまだ新しいブランドだったので、ラッシュアワーのニューヨーク市でのトラフィックが即座に増加するのを目の当たりにした」とガンジー氏は話す。同社は、OOH広告を展開した地域でトラフィックが着実に増加しているかどうかをチェックしはじめた。ガンジー氏によると、今では同社がブランドとして確立し、「すべての主要マーケットからサイトへのトラフィックの流れが常に安定している」ためだという。 最近の旅行をテーマにしたキャンペーンで、都市部の若い専門家というターゲット顧客以外の層からの関心も高まったとガンジー氏は語る。その結果、新たなコンバージョンは郊外の通勤者が中心となった。 OOHのようなチャネルに参入する際は、ブランドのトップオブファネルのリーチ拡大が期待されるとガンジー氏は話す。「当社の『規範』外の層にアピールできたのは大きな勝利だった」と同氏は言う。また、もうひとつの現場での発見は、LIRRの通勤電車内など長期間展開したエリアでは、ダグネドーバーの商品を実際に見かけることが増えはじめたことだ。「これは、OOH広告が特定オーディエンスの共感を呼んでいることを示す最高の証拠だ」と同氏は語る。この勢いをさらに加速させるために、同社は全米に拠点を拡大し続けると同時に、ダラスやオースティンなど特定の主要マーケット地域の一部でもキャンペーンを拡大した。