中国の日本人駐在員、8割超の企業が「注意喚起」 企業の約3%、大企業の14%が日本人従業員を駐在
Q2. Q1で(駐在を)「させている」と回答された方に伺います。9月の中国・深セン日本人男児殺害を受けて、貴社はどのような対応をしましたか?(複数回答)
◇「駐在者に注意喚起」が83.0% 痛ましい中国・深センでの男児殺害事件後の駐在者への対応について尋ねた。 対応で最も高かったのは、「駐在者に注意を喚起した」の83.0%(112社中、93社)だった。規模別では、大企業が83.0%(53社中、44社)、中小企業も83.0%(59社中、49社)と、規模に関係なく注意喚起している。 「その他」を除くと、「駐在中の従業員に家族の帰国を促した」が2.6%(3社)、「新規での駐在を停止した」が1.7%(2社)、「新規で駐在する場合、家族の帯同を原則禁止した」が0.8%(1社)で続き、「駐在の従業員を帰国させた」はゼロだった。 産業別で、「駐在者に注意を喚起した」が最も低かった産業(ゼロの農・林・漁・鉱業除く)は、サービス業他の44.4%(9社中、4社)で、情報通信業の66.6%(3社中、2社)と続き、他の産業はいずれも75%を上回った。 個別回答では、「単身者の駐在のみで、特に対応していない」や「家族帯同での駐在員がいないため、特別な対応はしていない」など、単身駐在者への対応は注意喚起にとどまる回答がみられた。 ◇ ◇ ◇ 日本企業の中国ビジネスが岐路に立たされている。中国では不動産市況の低迷や債務拡大などに加え、米中対立、台湾有事、反スパイ法の施行などでリスクが顕在化している。そこに、日本人男児の殺害事件後も殺傷事件などが相次ぎ、治安悪化で駐在員の不安も高まっている。 日野自動車は9月末に連結子会社が中国で製造していた商用車や建機用エンジン生産を停止し、中国ビジネスの縮小を公表したほか、中国からの生産拠点の撤退や他のアジア諸国に移転する企業も出ている。企業は中国経済や社会情勢などを見極めながら、駐在員への対応を進めており、しばらく難しい判断を迫られるだろう。