中国の日本人駐在員、8割超の企業が「注意喚起」 企業の約3%、大企業の14%が日本人従業員を駐在
2024年10月「中国の日本人駐在員」に関するアンケート調査
9月、中国・深センで日本人学校に通う男児が襲われ、死亡した事件が日本企業に波紋を広げている。東京商工リサーチ(TSR)が10月上旬に実施した企業向けアンケート調査で、企業の約3%が中国に日本人従業員を駐在させており、そのうちの8割超が駐在員に注意喚起したと回答した。新規駐在の停止や家族の帰国を促す企業も出ており、今回の事件が改めて中国ビジネスの難しさを浮き彫りにした格好となった。 東京商工リサーチ(TSR)は10月1日から8日まで、中国で日本人男児が殺害された事件を受け、企業向けに「中国の日本人駐在員」に関するアンケート調査し、5,793社から回答を得た。 中国での駐在員について、駐在を「させている」企業は2.7%(5,793社中、157社)、「させていない」企業は97.2%(5,636社)で、約3%の企業で日本人駐在員がいることがわかった。 規模別では、大企業が14.1%、中小企業が1.5%と、圧倒的に大企業が多い。 今回の事件を受け、「駐在者に注意を喚起した」企業は83.0%(112社中、93社)と、8割を超えた。また、数は少ないが、「駐在中の従業員に家族の帰国を促した」2.6%(3社)、「新規駐在を停止した」1.7%(2社)、「新規駐在の場合、家族帯同を原則禁止した」0.8%(1社)など。 日本企業は安全対策を急ぐが、中国では殺傷事件が相次ぎ、外務省は「複数人で外出する等、十分な安全対策をとるよう」注意を呼びかけている。駐在員と家族の安全面への不安を引き金に、中国ビジネスの転換を迎える可能性も出てきた。 ※ 本調査は、2024年10月1~8日にインターネットによるアンケート調査を実施し、5,793社から回答を得て、集計・分析した。 ※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
Q1.貴社は中国に日本人従業員を駐在させていますか?グループではなく、貴社単体でご回答ください(択一回答)
◇「駐在させている」が約3% 「中国に日本人従業員を駐在させているか」を聞いた。駐在を「させている」の回答は2.7%(5,793社中、157社)で、「させていない」は97.2%(5,636社)だった。 規模別では、「させている」は大企業が14.1%(524社中、74社)、中小企業は1.5%(5,269社中、83社)で、大企業では多くの日本人が駐在しており、対応を迫られている。 「駐在させている」と回答した企業の業種別(母数10以上)は、自動車エンジンなど「輸送用機械器具製造業」が15.4%(71社中、11社)の構成比が最も高かった。次いで、「情報通信機械器具製造業」が9.5%(21社中、2社)、検量など「運輸に附帯するサービス業」が9.3%(32社中、3社)と続く。 製造業を中心に、卸売業、サービス業他など多くの日本企業が中国に従業員を駐在させている。