なぜ天皇杯で再び“ジャイキリ”が起きたのか…J1横浜FCがJ3八戸にJ1広島が5部相当の京都に敗れる
カテゴリーが4つも下の京都に大敗を喫した広島の城福浩監督は、ホームのエディオンスタジアム広島に駆けつけたファン・サポーターが、試合終盤に相手チームへ拍手を送った光景を「真摯に受け止めなければいけない」と振り返った。 「スタジアムに来てくださった方々が、せめてできることがそれ(拍手)だったと心に刻みました。本当に申し訳ないゲームをした。監督である自分の責任だと思っています」 試合内容を比較すれば横浜FCよりも広島の方が、実はジャイアントキリングの餌食になる条件を満たしていた。中2日で待つ19日の柏レイソルとのJ1リーグ戦をにらみ、大幅に入れ替えられた先発メンバーの顔ぶれが最初のボタンの掛け違いとなる。 ベテランのMF青山敏弘らに加えて、日本代表に招集されていたDF佐々木翔とMF川辺駿、U-24日本代表のGK大迫敬介も欠いた。それでも試合への入りそのものは悪くなかったが、決定機を決めきれなかったなかで前半28分に先制され、さらにカウンターにミスも絡んで同38分に追加点を奪われてさらなる悪循環に陥った。 3バックに激しいプレッシャーをかければ、広島は苦し紛れのロングボールを蹴ってくる。展開を見越して周到に準備してきた京都の戦いぶりに戸惑いながら、何とか1点を返して臨んだ後半もセットプレーから先に失点を喫してしまう。城福監督が続けた。 「もちろん前半の2失点も想定していなかったが、やはり3失点目で前がかりになったところで4失点目、5失点目を喫した。一番よくない形になってしまった」 2018シーズンには2位に導いた指揮官をして、広島を率いた4年間で「一番悪いサイクルに入った」と言わしめた後半の3失点には、後半途中から主力選手を次々に投入しても一度手放した流れを取り戻せない、サッカーが持つ怖さが反映されていた。 ベスト32が出そろった天皇杯の3回戦は、一部を除いて7月7日に行われる。もっとも、16試合のなかでJ1同士の対戦は2つだけ。湘南ベルマーレに挑む八戸をはじめ、盛岡は清水エスパルスから、福井ユナイテッドは大分トリニータから、HondaはJ2のジュビロ磐田から、順大はJ2のザスパクサツ群馬からの金星を虎視眈々と狙っている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)