なぜ天皇杯で再び“ジャイキリ”が起きたのか…J1横浜FCがJ3八戸にJ1広島が5部相当の京都に敗れる
2年間プレーしたJFLの奈良クラブから今シーズンに八戸に加入。念願のJリーガーとして、リーグ戦でチームトップタイの3ゴールをあげている24歳の島田は「ワンチャンスを狙っていました」と胸を張る。同29分にも丹羽が俊輔から奪ったボールを左へ展開し、札幌大卒のルーキー、MF相田勇樹が左足で突き刺してリードをさらに広げた。 「前へいく姿勢が結果につながったし、守備ではしっかりと組織で守れたと思っていますけど、ボールを奪った後のプレーの質が低かった。前半はバックパスが多かったし、カウンターのチャンスになっても後ろ向きの選択が目立っていた」 2018シーズンの途中に患った急性大動脈解離を乗り越え、最終的に八戸をJFL3位に導いて悲願のJ3参入を成就させながら、S級ライセンスを取得していなかったために一度退任。今シーズンから満を持す形で3年ぶりに復帰した葛野昌宏監督が、天皇杯における通算3度目のJ1勢撃破を評価しながらも貪欲に前を見すえた。 対する横浜FCはベンチ入りした54歳の現役最年長選手、FW三浦知良に出番が訪れないまま、グループリーグで敗退したルヴァンカップに続いて天皇杯でも終戦を迎えた。敗因を問われた早川監督は、ボールを前に運べなかったと嘆くしかなかった。 「自分たちがボールを保持する時間があっても前に進まないというか、横にしか進まなかった。ビルドアップ時に後ろからどのように配球すべきかという点で、テンポもよくなかったし、上手く前へ入れられなかったことが一番の要因だったと思います」 昨シーズンに続くJ1での戦いで開幕から苦境に陥り、2019シーズンから指揮を執ってきた下平隆宏監督を4月7日に解任。ユースチームを率いていた早川監督にトップチームを任せたが、残念ながら状況が好転する兆しすら見えていない。 現時点でわずか1勝の勝ち点7は、19位の大分トリニータに勝ち点5ポイント差の最下位に沈む。18試合で総得点が「12」にとどまり、総失点がリーグ最多の「44」を数える過程でチーム内に巣食ってきた自信のなさが、天皇杯でも顔をのぞかせた形だ。