なぜ天皇杯で再び“ジャイキリ”が起きたのか…J1横浜FCがJ3八戸にJ1広島が5部相当の京都に敗れる
負の連鎖が止まらない。天皇杯JFA第101回全日本サッカー選手権大会の2回戦残り6試合が16日に行われ、横浜FCがJ3のヴァンラーレ八戸に1-2で、サンフレッチェ広島が関西サッカーリーグ1部のおこしやす京都ACに1-5で敗れた。 9日にはFC東京が順天堂大学に、横浜F・マリノスがJFLのHonda FCに、ベガルタ仙台がJ3のいわてグルージャ盛岡に敗退。J1勢の4分の1となる5チームが、天皇杯の醍醐味でもあるジャイアントキリングの餌食になって初戦で姿を消した。
「本当に情けない試合だった」
ホームのニッパツ三ツ沢球技場で、攻守両面で八戸の後塵を拝し続けた。試合終了間際に1点を返すのが精いっぱいの展開を振り返った早川知伸監督の第一声からは、番狂わせに泣いたというよりは、むしろ力負けを喫した横浜FCの現在地が伝わってくる。 「八戸さんを何ひとつ上回れなかった。走力のところもそうだし、自分たちがボールを動かすところもそうだし、最終的な結果を含めて本当に情けないゲームだった」 Y.S.C.C.横浜に3-0で勝利した、13日の明治安田生命J3リーグ第11節から中2日で迎える大一番。コンディション調整しかできなかった過密日程下で、八戸は現状におけるベストメンバーとなる、3日前とまったく同じ先発メンバーを送り出した。 対する横浜FCは中13日。元日本代表のDF伊野波雅彦やMF高橋秀人ら、2日の川崎フロンターレ戦で先発した休養十分の6人に加えて、復調気配を見せるMF中村俊輔、故障明けのDFカルフィン・ヨン・ア・ピンも先発させた。 八戸はそれでも名前負けせず、球際の激しさを含めたハードワークで横浜FCを凌駕。前半から主導権を握った仲間たちを、守護神の蔦颯は心の底から頼もしいと感じていた。 「厳しいゲームになるとわかっていたなかで、チーム全体として、立ち上がりからどんどんいこうと話していた。対策というよりも、気持ちの面で闘えたことが大きかった」 後半18分のMF島田拓海の先制点も、狙い通りの展開からもぎ取った。試合前に降った雨で滑りやすくなったピッチをにらみながら、右サイドからクロスを供給する役目を担う新潟経営大卒のルーキー、MF丹羽一陽へ島田はこんな言葉をかけた。 「雨で少し濡れているから、できるだけ速いボールを入れてくれれば何かが起こる」 果たして、丹羽が放ったクロスは島田には合わなかった。それでも横浜FCのゲームキャプテン、守護神の六反勇治が目の前でバウンドしたボールをまさかのファンブル。後逸したところへ、何かが起こると信じる島田が詰めてきていた。