立浪ドラゴンズ甲子園で10連敗、竜党が思い出す後楽園球場"人工芝"の悪夢
「人工芝に弱い」イメージ
苦手な球場を作ることは、やはりチーム成績には大きく影響する。130試合を戦って、54勝66敗10分で、シーズン4位に終わった。一方、本拠地でドラゴンズ相手に"貯金12"を手にしたジャイアンツは、前年の最下位から一気にリーグ優勝に駆け上がった。長嶋茂雄監督が初めて、胴上げで宙に舞った。ドラゴンズはその引き立て役だった。「人工芝に弱い」というイメージは定着し、巨人ファンの友人から「ナゴヤ球場も人工芝に替えたら?」とからかわれた苦い思い出もある。
19連敗でストップした夜
ドラゴンズが、人工芝の後楽園球場で勝ったのは、翌1977年9月13日だった。連敗は19にまで伸びていた。6対5の辛勝だったが「ついに後楽園球場連敗19でストップ!」と日記の文字も躍っている。 「最後の9回裏、タカマサが投げたピンチはもうドキドキで、部屋中をソワソワしていた」(9月13日) セーブを挙げた鈴木孝政を迎える与那嶺監督には、まったく笑顔がなかった。それほど19連敗は重かったのだ。しかし、こうして2年越しに勝利して連敗を止めると、翌日も後楽園球場で打線が爆発して、8点を取って大勝した。それまでの勝てない日々が嘘のように、ジャイアンツに連勝した。 人工芝はゴロの球足が速いとか、バウンドが大きいとか、いろいろ理由を言われていた。しかし、最も大きかったのは「人工芝で勝てない」という"呪縛"だったのではないだろうか。 2024年シーズン、甲子園球場でのリベンジの機会はもうない。しかし、1本のホームラン、1球の決め球で、ゲームは動く。1勝すれば、その瞬間、大型連敗もあっという間に過去のものとなるはず。応援するドラゴンズファンとしては、むしろ楽しみな思いで来季の甲子園初戦を待ってみたい。 【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】 ※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が"ファン目線"で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。
CBCテレビ