ハリス氏の姿勢探る暗号資産業界と政界への接触──人事や党の公式文書も参考に
現職の副大統領ならではの制約
デジタル資産セクターの関係者は、ハリス氏が未だ自身で暗号資産を推進するというメッセージを展開していないことに不満を抱いているが、現政権をサポートする副大統領という職務内容に由来する制約を挙げる者もいる。 マクレガー氏は「現職の副大統領が『ああ、私の上司は完全に間違っていました。今後どうするか説明させてください』と言うとは思えない」と、そして「そんなことは期待できない。要求が重たい」と語った。 ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領はそのような制約に直面していない。トランプ政権は前回、この新興テクノロジーを受け入れなかったが、ここ数週間はデジタル資産の応援団になっている。その結果、著名な業界リーダーたちの一部は、第二次トランプ政権がバイデン政権時代の取締りの強化やコンプライアンス面での衝突を覆すことを期待し、トランプ氏に対して支持と資金を提供している。 「たとえそれが蜃気楼であったとしても、砂漠の中にいてオアシスに向かうことに喜びを感じている人々の中から、彼の迎合的な態度に対するファンが生まれるのだ」とウィック氏はインタビューで語った。 ハリス氏は週末にかけて、経済政策についての見解を近々発表する予定だと述べた。とはいえ、デジタルトークンについての言及がそこでなされるという兆候まだない。ハリス氏の陣営に対して、crypto4harrisについてコメントを求めたが、即時の回答は得られなかった。
ハリス陣営の人事
業界関係者は今週、ハリス氏の選挙キャンペーンにおける登用のニュースに対し、渋い顔をしている。というのも、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領の元国家経済会議ディレクター、ブライアン・ディース(Brian Deese)氏や、同会議の副ディレクターだったバラット・ラマムルティ(Bharat Ramamurti)氏など、過去に起きた反暗号資産の動きに関連した人物が含まれているからだ。ハリス氏はまた、元財務省幹部で、在職中はテロや不正な金融活動におけるデジタル資産の役割を精査する仕事もしていたブライアン・ネルソン(Brian Nelson)氏を起用した。しかし、同時にハリス氏は民主党の政治家として知名度が高く、直近では暗号資産企業にアドバイスを行っているデイビッド・プルーフ(David Plouffe)氏も招聘している。ハリス氏は自身の立場を公表していないため、これらの登用に関する決断が参考にされている。 トランプ氏に対する熱狂ぶりには及ばないかもしれないが、ハリス氏の選挙活動が突如として始まったことで、親暗号資産の民主党支持者やトランプ支持が本意でなかった人々の間で興奮が巻き起こっている。 マクレガー氏は「この選挙キャンペーンにはエネルギーが渦巻いており、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領以来かもしれない。」と述べた。そして「私に何か手伝えないだろうか、と飛び込もうとする方々がたくさんいる」とのことだ。 暗号資産投資会社パラダイム(Paradigm)が現地時間8月12日に発表した世論調査の結果によると、ハリス氏はバイデン政権の動向に反感を抱いている一部のトークン推進派の民主党員に対して考えを変えさせる望みがあるという。