HPVワクチンキャッチアップ接種、17~24歳で35.0%にとどまる
HPVワクチンの公費助成によるキャッチアップ接種の期限が2025年3月に迫る中、同ワクチンの接種率はキャッチアップ接種世代(17~27歳)全体でも49.5%と半数に満たず、特に17~24歳では35.0%にとどまることが、エムスリーが保有する医療リアルワールドデータベースであるJAMDAS(日本臨床実態調査)※のデータで明らかになった。接種機会を逃す人が約320万人にも上ると推計される(2024年8月末時点)。 HPVワクチンの積極的接種勧奨は、「小学校6年から高校1年相当」の女子を対象に2022年4月に再開、勧奨差し控えの間に接種を逃した1997~2007年度生まれの女子は2025年3月末を期限にキャッチアップ接種の対象となった(対象者の詳細は、厚労省のホームページ参照)。キャッチアップ接種では間隔を空けて3回接種が必要なため、初回接種を9月末までに終える必要があり、多数の女子がキャッチアップ接種の恩恵を受けられずに期限が終了する懸念がある。
接種率、年齢による開きも HPVワクチンの接種率は、17~27歳の全体では49.5%だが、年齢別に見ると、開きが大きい。2013年4月の定期接種化以前の「緊急促進事業」や、積極的接種勧奨がなされていた2013年4月から6月までの間に接種していた可能性のある25~27歳では84.1%と高い一方、17~24歳では35.0%にとどまる。特に「小学校6年から高校1年相当」の時期に積極的接種勧奨が完全に差し控えられていた20~24歳での接種率の低さが目立つ。 子宮頸がんは日本では年間に約1.1万人が罹患し、年約2900人が死亡するが、9価のHPVワクチンでは80~90%予防が可能(厚労省のホームページによる)。 標準的な接種間隔(2回目と3回目の接種が、それぞれ1回目の2カ月後と6カ月後)であれば、キャッチアップ接種の1回目の接種期限は9月末であり、キャッチアップ接種が急がれる。 みんパピ!副代表の木下喬弘氏(医師・公衆衛生学修士)は、「短縮接種はHPVワクチンの接種を受けられなかった人に対する本当に最後の救済手段。今回の調査で320万人もの女性がキャッチアップ接種の機会を逃していることが分かったので、一人でも多くの方に今すぐ正確な情報を伝える必要がある」と語っている。
※JAMDAS(日本臨床実態調査)とは JAMDAS(Japan Medical Data Survey:日本臨床実態調査)は、日本全国の医療現場で起きている実態を正確かつリアルタイムに把握するために、エムスリーが独自に構築した従来にないリアルワールドデータベース。本データベースにより、各種ワクチン接種率、薬剤の切替・継続を含む処方状況や、疾患別患者数などをリアルタイムに把握することが可能。
m3.com編集部