【山の遭難】2024年夏期は5年ぶりに減少! 警察庁統計より&実際にあった救助要請体験談「レポート」
■登山計画を立てることで、リスクは減らせる
登山計画が立てられれば、登山は5割成功だ。目的とする山の情報や天候を知ることで、食料や飲料、装備を適切に見積れる。 また標高500mの山に登っている人が、いきなり10時間行動を要する3,000m級の山に登るのは体力、技術、経験、装備どれをとってもリスクがあると考えられるはずだ。 登山計画を立てることは、想定範囲を広げリスクを最小限に抑えることに繋がる。 しかし、綿密な登山計画を立てても遭難を100%防ぐことはできないのが現実である。 次に、筆者の山仲間が遭遇した事故を紹介したい。
■下山中、バス停まで残り40分の場所で遭難
2024年10月初旬の平日、Aさんは50~60代の女性4人で京都の山に登っていた。時刻は14時過ぎ、バス停まであと40分ほどの場所を下山中のことだ。 突然、仲間の1人がスリップして尻もちをついた。何かにつまずいたわけでもなく、危険な場所でもない。立ち上がろうとするも、痛くて立てないと言う。地面は冷えるため、お尻の下にシートを敷こうとするが、彼女は痛みでお尻を持ち上げることすらできなかった。彼女は「ポキっという音がした、痛くて一歩も動けないから救助を呼びたい」とメンバーに相談。痛みは右足のふくらはぎだけで、会話はしっかりとできるため、14時半に本人が直接消防に救助要請した。 10月といえど、日中は汗ばむほどの陽気で全員のウェアは汗で濡れていた。しかし立ち止まった瞬間、急激に冷えてきたため、予備のウェアに着替え、さらに手袋やネックウォーマーを着用して、雨具を重ねて寒さに備える。ケガを負った女性にはAさんが携帯していたツエルト(簡易シェルター)を被せて、さらに保温する。 通報から1時間後の15時半、救助隊4名と2名の救命士が徒歩で現場に到着。痛みが強く、担架での搬送は困難と判断され、ヘリコプターを要請することに。その1時間後の16時半、救助ヘリが到着し、彼女は無事病院に搬送。彼女は螺旋骨折を負い、右足のふくらはぎ付近で骨が2本折れていた。骨がねじれるように折れ、骨折部分が螺旋状になることから螺旋骨折と呼ばれる。また、発症時に骨の折れる音がすることがあるらしい。